【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

不謹慎なハッピィワァルド ページ4

あの後、再びキッチンカーへと戻った二人。草薙が、ぼろぼろになった二人を見て派手に争ったことを察して、苦笑した。二人の決心のついた顔に、遊作が折れたことは草薙からも目に見え、やっぱり女は強いな、と確信付ける。既に終わった攻略画面を広げて、二人が席に座るのを待った。

｢この中心にあるデータバンクに、十年前の事件の手がかりがあるはずだ｣

｢十年前の…事件……｣

｢……ここに、か｣

｢あればいいけどな｣

草薙がここへ行くまでのトラップが構築済なことを完結に話せば、ソルテクノロジーのマザーコンピューターと繋がった合図をAiが伝える。ついに、時が来たことに三人が息を飲めば、沈黙を打ち崩したのは遊作だった。

｢一つ、このデータには信憑性がある。二つ、だがなぜゴーストガールはこのデータを渡してくれたのか｣

Aも思っていた疑問を遊作が口にし、Aiがそれに疑問を挟む。三つ、ゴーストガールは自分にメリットになることをするやつではない。Aが心の中でそう呟く、それと全く同じ言葉を遊作が口にした。今更怖気付いたとか、そんなのじゃない。だけど、どうにも引っかかる…Aの考えが何かにたどり着きそうになるその前に、遊作が催促を持ちかけた。

｢準備は？トイレは済ませた？｣

｢……茶化すな｣

｢…分かってるよ。遊作、行けるよね？｣

｢お前こそ、引き返すなら今だぞ｣

｢はは、冗談を｣

Aと遊作が拳を軽く合わせる。Aiがその様子を心配すれば、草薙が二人の緊張ほぐしさ、と理解を示した。

ここに、私たちを劇的に変える何かが待っている。それが危険と隣り合わせでも、それを顧みないほどの大切な何か。Aがグッ、っと息を飲み、デッキに手をかける。怖くないわけがない、震える手を握りしめてAは真っ直ぐ前をむいた。大丈夫、行ける。Aが口を大きく開いて、彼とともに声を高らかに上げて開幕の言葉を叫んだ。

｢イントゥ・ザ・ブレインズ！｣

足元からアバターの姿へと変わり、脳が何かを駆け抜けるような衝動へと目を閉じる。次に開ければそこは茶色の質素な空間だった。

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