【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

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午後十一時半、Aと遊作は必要最低限の少ない荷物を持ち、夕方に確認した住所へと足を運んだ。暗い夜、まるで探偵ごっこのようなこの行動にAはほんの少しだけウキウキと気分を高ぶらせる。

｢俺達は遊びに来た訳じゃない｣

｢わかってるよ！あんぱんと牛乳でも用意すればよかったね？｣

｢……｣

｢冗談だってば！！｣

Aの巫山戯た態度に、怪訝そうな顔つきで彼女を睨む。場の雰囲気が悪くならないよう、彼女なりの気遣いなんだろう事は遊作も重々承知なので、それ以上は突っ込まない。窓の外から眺める部屋に特に変わった様子はなく、Aは腕につけてきた時計を見つめた。

｢十一時四十五分。翔一さんと見たコンビニ前でのあれを見るに、もうそろそろ来てもおかしくない…よね｣

｢ああ、そうだな｣

『Aちゃんちょっと怯えちゃってるんじゃないの〜？』

｢こんな暗闇を怖がるのは間抜けなAIくらいでしょ？｣

『ば、ばか！俺は怖がってないっての〜！！』

｢Aiちゃんバカは禁止用語で〜す｣

｢黙ってろ二人とも｣

張り込み、のはずなのに騒がしい二人に静止の声をかける遊作。騒ぎ立てていた二人は、きゅっと口を結び手で口を抑えた。遊作は、そんなふたりに溜息をつき、窓を見やる。十二時少し前、何が起きそうな予感がした。

その予感は見事に的中し、部屋の中から悲鳴と共に光が走る。

｢っ、今の！｣

｢行くぞA｣

今のを合図に走り出す遊作とA。遊作が部屋の前のドアを大きく蹴破ると、中には虚ろな表情で倒れている君島まことがいた。遊作が声をかけるが、反応はなく既にLINK VRAINSに強制ログインさせられた後のようだ。Aが頭を横に、無理のない状態で寝かせ、出来る限りの処置をする。足元に散らばったカードはきっと彼の大切にしていた仲間たちだろう。聞こえてくる声にAは知らぬふりをした。

ご主人を助けて、

それは自分には叶えられない願いだ。苦し紛れに、カードから見える何かから目を逸らす。心の中で一言、ごめん。と謝り、遊作の方を見る。彼は手がかりになる何かを探し出そうとしていて、そんな二人の間で最初に声を出したのはAiだった。

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