【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

嘘つき都市伝説 ページ26

遊作が学校から帰ってきたのを合図に、三人と一人はいつもの席へと鎮座して会議を始める。キッチンカー内のモニター前、三人の話題は一つ。それは勿論、最近LINK VRAINS内で起こっているアナザーと呼ばれる現象のこと。LINK VRAINSにログインしたまま帰ってこられなくなった人たち。現実世界で昏睡状態になった彼らのハッキング映像を映し出しながら、それぞれ口を開いた。

『やっぱりこの症状は…』

｢ブルーエンジェルの時と同じ、だね｣

｢あぁ｣

Aiの切り出しにAと遊作は頷く。アナザーとは『自ら』現実世界を捨てて、LINK VRAINSに閉じこもることを選んだ住人たちが当初の原因らしいが、先程映し出されていたコンビニカメラの強制ログイン映像を見る限り、今回はそうじゃない事が伺える。アナザー状態の人間のアバター、それについては今後の調査で、と草薙もまだどういう状態なのか知らないようだった。アナザー状態の人間のデータをまとめたそれに目を通した遊作とAi、そして草薙とAが導き出した答え。

『このデータを読むと今までのアナザーと三つの共通点があるな』

｢一つ、デュエルの才能に秀でている。二つ、旧型ディスクを使っている。三つ、彼らはみんなハッカーだ｣

｢その結果から導き出せるのは…｣

｢標的はPlay makar、つまり遊作ってことね｣

若しくはプレイメーカーと行動を共にするイグニス。詰まるところAiの事だった。草薙は、茶化すAiと呆れ顔の遊作を尻目に手を動かす。やっと出てきたロスト事件の糸口、それを三人が逃す訳無い。当然、復讐は続行。そして、これ以上アナザー被害者を出すわけには行かない。その気持ちは遊作もAも同じで、声に出した遊作をAiがおちゃらけたように褒める。呆れ目の遊作に、先程Aがまとめた次に狙われそうな人物をリストアップしたデータを開き、草薙がふたりと同じ学校の生徒の情報を提示した。

｢うちの生徒多すぎじゃない？｣

『高校生なんて、流行りに敏感なお年頃のやつが狙われないわけないだろ？』

｢ぐう正論…｣

何かを考え込むように顎に手を当てる横、二人の会話を草薙が苦笑いで流す。

｢今日の十一時半、君島まことの住んでいる家に行く｣

｢遊作が行くなら私もお供するよ｣

｢じゃあ、俺はここで情報収集だな。頼んだぞ二人とも｣

了解、と返事した二人に草薙が安心した表情を見せた。

・→←電脳世界という名の籠

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す