【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

電脳世界という名の籠 ページ25

｢変な日食といい、アナザーといい…。最近のLINK VRAINSはだいぶ危ないっていうか…｣

｢Aが遊作を心配しているのはわかるが、学校休んでも良かったのか？生徒会長さん｣

｢遊作も心配だけど、放って置くと眠らず本業に精を出す翔一さん、も！私にとっては憂慮案件なんですが？｣

手を動かしながら、ジト目で見つめてくるAに、草薙は困り顔で謝る。いつでも、自分たち三人と一人の中でAに口論で勝てるものは居ない。今回も草薙は彼女に謝ることしか出来ず、頬をかいた。

あの謎の日食が起きた翌日、草薙の色々調べてみるという言葉にAも乗っかって学校を休んだ。Aは既に熟さなきゃいけない出席日数は足りていて心配事はない。大人はやるべき事をやっていれば文句は言わない。それが、Aのこれまでの学校生活で学んだ教訓だった。次にアナザーにされそうな人間のデータをかき集め、リストアップする作業に指を動かしながらAは息をつく。

｢旧型デュエルディスクと言えばAも頑なに旧型使ってるよな｣

｢だって慣れ親しんだものの方が使いやすいしね。それに遊作とお揃いなので！｣

慣れ親しんだ、という言葉に草薙が過渡を顰める。咄嗟に茶化すような言葉を入れ込んだAはえへへ、と苦笑いをこぼした。旧型デュエルディスクは、Aが過去に閉じ込められていた証。それは遊作も同様で、ロスト事件時に使われていた否、二人が使わされていたデュエルディスク。慣れ親しんでいると言っても過言ではなかった。流石に失敗した自虐ネタにAは焦りを見せるが、草薙も大人。すぐにAの頭を撫でて話を終わらせた。そんな対応に救われたのと同時に、Aは複雑そうな表情で草薙の触れたところに自分の手を載せる。

｢翔一さんの偶に見せる大人の余裕…なんかむかつく……｣

｢はは、少なからずAよりは大人だからな｣

｢むっ…ずるい……｣

珈琲でも入れるか、そう言って笑いながら立ち上がった草薙の後ろ姿を軽く睨むA。いつものキッチンカー内で、相変わらず兄妹のような二人の間にcafe Nagiのマグカップが湯気を立てた。

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