【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

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不思議な、そして優しい少年たちだった。

きっと財前晃は後にふたりをそう語るだろう。

だが、葵を惚れさせていった燕青という彼。彼だけは許せない。ゴーストガールが立ち去り、マザーバンクの前で二人きりになった葵と晃。恋する瞳をしていた妹。燕青の話題を降られて顔を真っ赤にするブルーエンジェルの隣、財前晃が悔しそうにそっぽを向いた。



閑話休題


｢僕はカッコイイ男を目指してたのに！君というやつはー！！｣

｢…何が不満なんだ｣

｢この現状だよ！！｣

『ぷぷ、米俵のように担がれてる燕青くん。いいじゃ〜ん、愛らしくて！ぷくく！』

｢Aiちゃんにはもう一生優しい言葉かけてあげない｣

Play makarの行動はAIデュエリストと戦い、慣れないDボードで、恐らく体力を使い果たしていただろう燕青を気遣ってのことだった。きっと、これも強がりだろうと彼は踏む。それに、もう一つ。燕青には内緒だが、知らぬ間にブルーエンジェルと仲良くしていたらしいことにPlay makarはこっそり嫉妬心を燃やしていた。無論顔にも態度にも出さないが。

担がれたまま、頬を膨らませる燕青に黙ってPlay makarはボードを走らせた。

｢…信じてたよ｣

｢！｣

｢Play makarは絶対勝つって｣

燕青の真剣な声色。Play makarは振り向かず、Dボードに乗ったまま彼を担ぐ手に力が入った。知っている、燕青が自分を信じていてくれたことなど。きっと、あの状況の中。あそこにいた人間、及びカメラ越しに見ていた草薙含め、Play makarが勝つと信じていたのは燕青だけだっただろう。絶対的な2人の関係には、誰も入っては来れない。燕青が彼を信じる限り、彼は勝ち続けるのだ。

｢俺も。お前が信じていると信じていた｣

｢…私の全部はPlay makarのだからね。君が考えていることは全部わかるし、理解だって出来る｣

｢知っている｣

｢ならいいけど…？｣

自信ありげな彼の言葉に燕青は笑って、その背中に自身を預けた。いつだってそう、自分には彼しかいないのだ。燕青にとって、Play makarは空気と同等の存在。無ければ生きていけない、いることが当たり前。

｢いつだって、あなたが私の全てだよ｣

目を閉じ、彼の体温を感じる。ライダースーツ越しのかっちりとした彼の体に燕青は安堵の息をこぼした。

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