【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

真実の扉 ページ14

｢ここにあるデータにはハノイプロジェクトの首謀者の名前が記録されていた…｣

｢ッ…、首謀者の！？｣

｢それは、誰だ！！｣

Play makarと財前の話が終わり、燕青の耳から手が離された時だった。突然の大きな情報に燕青は息を呑む。首謀者、それが分かれば自分達はまた一歩前へと進める。今まで、行き詰まっていた情報探しのいちばん大きな鍵。ここで手に入れなければ、また振り出しの日々だ。燕青はぐっと何かを堪えてPlay makarを見る。彼もそれはわかっているようで、情報の提示を断った財前との再デュエルが始まった。

状況は変わらず、逆転するのは不可能に近い。だが、彼は負けない。ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てるAiを無視し、ギリギリの攻撃を間一髪でPlay makarが交わす。大丈夫、信じてる。燕青は大きく息をする。これまでだってどんな修羅場も潜り抜けてきた。今回だって、必ず情報を手に入れてみせる。燕青のPlay makarを信じる気持ちはいつでも変わらない。燕青の人生はすべて彼に捧げたのだ、これまでも。


これからも。


『おお！これってもしかするんじゃね？』

くねくねと動くAiに、一枚のカードで状況が一変したことを悟った外野はそれぞれの思いを秘める。いつだって、盤をひっくり返すようなデュエルをするPlay makar。だが財前だって負けてない。テクニシャンすぎる罠の使い方。勝負はまだわからない。

｢ッ…Play makar……｣

｢燕青、見ていろ｣

｢…！｣

Play makarに呼ばれた燕青は、信じていると言わんばかりの笑顔を彼に見せた。燕青が彼を信じているように、Play makarもまた燕青を信じている。自分を見守っていてくれる、燕青の存在はPlay makarの大切な自身の存在意義だった。

『お取り込み中申し訳ありません。おいら引越しの準備始めるだよ…』

｢Aiちゃんの意気地無し！｣

『なんだとぉ！燕青、俺だって行きたいわけじゃねーよ！！』

｢この馬鹿！！｣

『バカは禁止用語だって言ってんだろ！！』

まるでPlay makarを信じてないような言い方しやがって…。そんなんじゃ、一生彼の相棒名乗るのは無理だから！！燕青がAiと睨み合い、ばちばちと火花を散らせる。万事休すか、つけていた指示器からも草薙の悔しそうな声が燕青に届いた。

大丈夫、きっと彼なら。

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