遠くの街としあわせと‥８中編(ＪＵＭＰｘＪＵＭＰ)街シリーズ(８)

＝薮だけに..・６＝ ページ6

「ハァ＿＿ゴホッ・・ハァ・・」


久し振りの全力疾走に、体が悲鳴を上げている。

そして、光に嫌われたくない俺も

心の中で、悲鳴を上げている。



猛ダッシュし過ぎでむせ、咳き込み

そして、ちょ〜痛ぇ横っ腹を押さえながら

前屈みでインターフォンを押そうとし・・

横っ腹を擦りながら、少し躊躇(ためら)う。



＿＿＿もし。もしも..拒絶されたら、どうする？

許してくれなかったら？もう二度と逢ってくれなかったら？

インターフォンを無視されたら・・？




でも、でも＿＿このまま何もせず帰るのは

駄目だ。情けな過ぎる。




やっぱり、出てくれなかったら、待とう。

近所迷惑にならないよう、静かに出てくれるまで待つんだ。

そして、顔見て＿＿謝ろう。



そうだ、そうしよう。

自分の事ばかり考えてた。

光の事を想って居た筈なのに..

逢えない自分に酔っていたんだ。




謝ろう、誠実に＿＿謝るんだ。


「よ、よしっ。」



気合いを入れ、突き指覚悟で

強くインターフォンを、ボチッと押した。



「イッテェェ〜〜。
　マジ、突き指したかも＿＿」


強く押し過ぎ、人差し指を痛めた、俺。

涙目の俺。＿＿＿そんな情けねぇ俺は

インターフォンの前に立ち尽くし

光からの声を、待った＿＿＿＿＿＿＿。



「・・・でなぃ・・。」



痛めた人差し指から、親指にシフトチェンジし

もう一度押す。今度は、少しソフトに・・

でも、願いを込めて。



＿＿＿出てくれ、光ッッ＿＿＿＿



少しの間のあと・・

『・・はい？＿＿どちら様？』



つっけんどんな光の声。

でも、出てくれた＿＿＿。



「ひ、ヒカ＿＿光？！お、オレ、俺。
　俺、俺、俺。俺だけどっ!!」


『はぁ？！何、オレオレって‥
　オレオレ詐欺ですか？だれ？
　一体、なんの用ですか？』


「お、俺。。薮、薮宏太ですっ!!
　光、ごめんっ。ほんとぉぉ〜〜に
　ホントにゴメン。俺、光に話しが‥
　逢って、話がした＿＿＿」



最後まで言わせてくれず、

ブチッとインターフォンが切れた＿＿＿。


＿＿＿＿どうしようっっ。。。


マジ、ちょ〜〜〜〜怒ってるッッ。


どうしよう、どうしたら＿＿門の前でウロウロ。

動物園のゴリラみたいに、ウロウロ。ウロウロ。

「マズいぃ〜〜どうしようぅぅ〜〜。
　あ゛〜〜。。うぅぅ〜〜〜。」

そう、うーん。うーん。唸りながら、ウロウロしてたら…


「＿＿おいっ！
　お前は、動物園のゴリラかっ！？
　この、ばっか宏太めっ！」

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