哀しいkiss 28 ページ45
霞がかかったみたいに視野と頭が霞んで…
放たれた欲は、
俺を今まで経験したことのないような
快…楽の渦に放り出した
腕の中で、一気に脱力したA
「裕太…」
潤んだ瞳が、微かに微笑む
「愛し…て…る…」
ぎゅ、
離さないで….そう言うみたいに、
俺の背中に食い込んだ指先
「裕太だけを…愛してる…」
何より、欲しい言葉
誰より欲しい人
俺だけを見て、俺だけを愛してくれるA
裕「嬉しい…」
裕「嬉しいよ、A…」
裕「俺もAだけを愛してる…」
もっと何度も愛して…
何度もイかせて、満たしてやりたかった
なのに…ダメだわ
マジで…
身体に力が入らない
意識をなくし、静かに息をしてるAを
綺麗にして…
その唇と身体にキスを落とすと、俺も意識が
朦朧としてくる
何もかも…Aには敵わない
俺は…Aの虜
Aなしじゃ生きて行けないんだ
裕「ずっと側にいて…」
裕「俺の側に…」
もう一度願いを込めて呟くと、
重い瞼が落ちてきて意識がなくなった
.
.
.
「…ごめ…」
「起こしちゃった？」
明るい陽の光を背に、ベッドサイドに立つA
裕「あれ…」
もう…朝？
「…お仕事行ってくるね？」
裕「あ…そか、今日は早出って…」
「…、ん、」
寝顔見たかったのに…
朝も…抱きしめたかったのに
「裕太は…午後から？」
裕「ん…」
今日は、午後からメンバー全員の撮影だ
「夕飯は？」
裕「弁当でるけどー、Aのがいい…」
「…笑」
「わかった…裕太の好きなもの作っとくね」
裕「うん」
今の俺は、きっと幸せ過ぎてデレってるに違いない
裕「ね」
キス…して
デレったついでに、甘えてみた
裕「ちゅーー」唇を突き出した
「ふふ…」
昨日までなら、少しだけ哀しい顔をしたAが
今日はにっこり笑ってキスをくれた
マジで幸せ
幸せ過ぎて死…ぬ
ちゅ
今度は俺から…
急いで部屋着を羽織り、
離れがたい気持ちを我慢して玄関でAを見送る
裕「早く帰るねーー」
そう言った俺に、くすくす笑いながら
うん、と言ってくれたA
そう…確かに、"うん"って…言ってくれたのに
どうして？
帰った俺を迎え入れたのは…
人気のない暗闇だった
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作者名：トウコ
| 作成日時：2019年5月25日 18時
