哀しいkiss 17 ページ34
部屋に響くリップ音
啄ばむようなキスが、次第に絡み合い求め合う
濃厚なキスに変わる
唇と唇に覆われた口腔内で
互いの舌先が交わり合う
蛇のように絡み合い、そして根元から抜け落ちて
しまいそうなくらいに吸い付いて、俺の中へと
引き込んでいく
その小さな舌先を堪能するかのように…
「…ん、ぁ…」
微かな唇の隙間から吐息が漏れる
「…はぁ…ッ……」
それでも俺は、自分のものにしたその舌先を
離さずに、ただひたすら愛し続けるんだ
全てを忘れたくて…
「…裕ッ…」
「……裕、ッ…苦し…」
か細い腕が胸を押し返す…
「苦し…い…ッ…」
ぎゅ、っと胸を掴まれて我に返った
裕「…ごめ、熱くなり過ぎた…」
ちゅ、軽いフレンチキスを頬に落として
そのまま唇を耳たぶへ
裕「好きだよ…」
耳元で囁く
裕「好き…」
ちゅ、
銀色の産毛が光る耳たぶにキスを落とす
裕「好き…」
ちゅ
くすぐったそうに肩をすぼめたA
Aは？
そう聞こうとして、口を噤んだ
想いのない言葉は、哀しくなるだけ…
ゆっくり目を閉じて耳元から、首筋に
唇を当てがっていく
細い首筋のラインが凄く綺麗で弱々しい
俺が、この手で締めたらすぐに折れてしまいそうだ…
優しく…そっと…
ラインを描くようにして、鎖骨へと向かう
君の身体全てを愛してあげるよ
なだらかな隆起も…
小さなピンク色のグミも
括れたウェストも
縦に真っ直ぐ…綺麗なおへそも
長い足も…
細い足首も…
指先の1本、1本も…全部
太輔が愛したように…大切に…愛してあげる
それが、君の好みだとしたら…
.
.
.
ずっとそう思って、ずっとそうして来た
だけど
何でだろう
今日は…
君を壊してみたくなった
太輔とは違う愛し方をしてみたくなった
太輔が愛してない所を愛してみたくなったんだ
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作者名：トウコ
| 作成日時：2019年5月25日 18時
