哀しいkiss 4

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太輔side


渉の車で現場へ向かう





そこに行けば玉がいる
玉の前で、平然としていられるだろうか





今度は…






.






.






.






同じようなことが、半年前にもあった




Aを無理矢理抱いた人間が、玉だとわかり
自責の念に駆られたAと、別れた直後





もともと悪いのは俺、そう思ってたから
なんとか平常心を保とうとした

浮気をしたAを切り捨た、そう自分に
言い聞かせた

全然、未練たらたらなのに
忘れようとしても、絶対無理なのに








俺と別れて、行くところがなくなったAが
玉と一緒にいるのは明白だった






わかっていて知らないフリをした




玉が、彼女と別れた俺を見てどんな反応をするのかを逆にじっと見てた





もともと人付き合いの苦手な玉が、今まで以上に
外食をしなくなり、仕事が終わるとさっさと帰って行く



撮影の中休みにはスマホを開き、まめに返事を打つ





時に彼女に想いを馳せるように、優しい表情をする






忘れなきゃ、と思う程に
玉の一挙一動が気になって、ますますAへの
想いが強くなり…
そして、結局店の前まで行ってしまった







やり直せると思ってた


もう一度、全てを許してAと半年前に
戻れると…



でも、ダメだった







ダメだったんだ







.







.







.








俺にできることはただ一つ

二人を許し、認め、幸せを願うこと

ただ…それだけだ







太「玉…」

撮影が終わりに近づいた頃、俺は玉に声をかけた

渉が心配そうに見つめてる







裕「ガヤ、大丈夫？」





太「あぁ、朝はすまなかった…」







裕「いや、全然…」






太「……Aは…」






裕「…大丈夫だよ、もう…落ち着いた…」







太「そっか、良かった…」







裕「あのさ、彼女のことだけど…」





もう、いいさ
もう、これ以上俺に彼女を縛る権利はない






太「玉…彼女のこと頼むよ…」






裕「え？」







太「俺じゃ、彼女を幸せにできない…」




裕「何、急に…」







太「急？」







太「急じゃないだろ？玉…」




裕「え？」







太「ずっと…待ってたんだろ？
好きだったんだろ？」





裕「…？」






太「もういいよ…全部わかってる…」







太「玉…ごめんな…」






裕「え…」





太「玉…ずっと、好きだったんだよな…」






太「俺が彼女を好きになる前から…
ずっと…Aのこと好きだったんだろ？」

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