哀しいkiss 3

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彼女side


口づけを落とすと
意識はないはずなのに、ふわっと緩んだ頬




涙で濡れた睫毛と頬を
起こさないように、そぉっと拭う




ごめんね、太輔

貴方を苦しめてごめんなさい




苦しくなって太輔の寝顔から目を逸らし
そして、顔を上げた


太輔と別れて、半年ぶりのこの部屋
半年も経ったのに、家具も食器も何一つ変わってない




太輔が、私に用意してくれたこの部屋




付き合い始めても、外で会うことができなかった二人の…太輔との思い出の全てが詰まってる





太輔が選んでくれたペアの食器

お店の人には、友達の結婚祝いって言ったんだって教えてくれたね




ソファやテーブルは馴染みの店で。
模様替えするんだ、って言ってんだよね


ベッドはよく眠れるように…自分のと同じもの
でも、二人だから、って
ワンサイズ大きいのを取り寄せてくれた




自分のはモノトーンで揃えてるのに
私には、Aの雰囲気に合わせたよ、って
ナチュラルトーンの木目調のが多かった





最初は、肩が触れると眠れないんだよね
なんて言ってたくせに…
朝、目が覚めるといつも二人抱き合ってた




太輔の肌に顔を埋め、逞しい腕に抱き寄せられて迎える朝





幸せだった

太輔と一緒にいられて、太輔に愛され
太輔を愛し…私は凄く幸せだった




オトコの人を知らなかった私が…
好きな人に愛される悦…びと、その腕に
包まれる温かさを知った




.






.






静かな寝息
安心したような無邪気な寝顔




でも…私が帰ってしまったら、また…




今度こそ太輔は死…んでしまう





帰れない


今の太輔を、このままここに一人にして
裕太の所に帰るなんて出来ない




そんな事…出来ない

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