雨が降り私は歌う [KZ] (ページ20)

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#nineteen◇シリアス注意ページ20

急にまじシリアス展開←

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｢本当は"死のうとしていたから"｣

そんなの嘘だって言いたかった

そんなのはずないって

実際そうだったし

でも何故か言葉が喉に引っかる

ぶわっと気持ち悪い程冷や汗が出てきて

息をするのが苦しくなった

なんで自分がこんな事なっているか分からなくて

怖かった

まふさんとそらるさんは今にも泣き出しそうな顔をしている

2人して唇を噛み締め

私の方を見つめる

｢彩｣

震えるような声が届く

｢忘れているんですよね？｣

何が？

｢忘れちゃったんですよね？｣

その瞳は何故か

怒りの炎がチラチラと燃えていた

｢あの悲劇を｣

まふさんはそういってゴクリと唾を飲み込む

本当はすぐにでも微笑んで

大丈夫ですよ

そう伝えたい

なのに何故か表情まで固まって

何かに

"見えない何かに"

怯えていた

｢まふまふもういい｣

そらるさんはそう一言言ってまふさんの肩に手を置く

頑張った

そう耳元でそらるさんはまふさんに伝えた

立っていたまふさんは何故か

ガタッと崩れ落ち

滝の様に流れる涙を

抑えるように

手を顔に当てていた

｢彩ちゃん｣

何回目のその言葉だろうか

そらるさんは私の名前を呼ぶ

｢"歌い手になろう"｣

そう噛み締めるように一言言うとそらるさんはスーと流れ落ちてきた涙を綺麗にすくう

そして何も無かったように

にこりと

微笑んだ

｢彩ちゃんを守りたいんだ｣

私は

ただの中学生

でも

まふさんとそらるさんは

成人男性

私が歌い手にならなければ

この2人と変わることが少ない

逆を言うと

私が歌い手になれば

"いつも近くにいられる"

そういう事だろう

きっと私は

気づかない内に

"死のうとしている"

じゃないと体がこんなに反応しない

何かに私は

"怯えているんだ"

私は震える手をそらるさんに伸ばす

そらるさんは私の手をギュッと握る

『歌い手に』

『なりたいです』

自分の意思で

震える意思で

私はそらるさんに言葉を

"伝えた"