雨が降り私は歌う [KZ] (ページ1)

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#one（手直し) ページ1

基本彩目線で進めていきます。

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私は走る

雨に濡れながら______

まだまだ私なら走れる

なんて

強がるのは辞めておこう

本当の事を言うと私は今すぐ倒れたい

浜田の制服はびっちゃりと水分を含み

体は限界を過ぎ

正直の所を言うと私は今”生きるか””死ぬか”のせとぎわまできている

でも私の足は止まらない

止まってくれない

かれこれいって走って15分はたった

命の限界を感じながら私は今も尚走り続ける

でも雨の勢いは止まらない

私の勢いも

ハァハァっと息で軽やかなリズムを刻みながら走り続ける

私が倒れるまで

｢お嬢さんどうしたのっ？そんなに濡れて｣

走り抜ける途中目をまん丸にした1人の女性に声をかけられた

普通の私なら立ち止まる

それが人間のとしての当たり前だから

でも今の私はもう人間だと言えないギリギリの所を走っているのだ

私は軽く会釈だけして走る

私は雨は嫌い

湿気って何だか気持ち悪いから

でも今は好き

何もかも流し落としてくれるもの

"嫌な記憶"も何もかも

有名な文豪に太宰治さんという人がいる。その人の作品に『走れメロス』という物語がある

今の私はメロスみたい

どんな事があったって走り続けるの

まぁメロスみたいに正当な正義のために走ってる訳では無いんだけどね

｢＿彩なんて要らないわぁ｣

私の頭の中にママの声が響く

｢彩が居なくてもパパや祐樹や奈子が居るんだもの。｣

15分前聞いたママの言葉

私はその言葉を聞いて絶望した

"私要らない子なんだ"って

ママの言葉に嫌味はなかった。ただその雰囲気で言っただけ

それでも私は弱いから直ぐに傷つくの

そして今も尚そのトラウマに苦しめられる

『ごめんなさい』

頭の中が真っ白になり視界がボヤける

そろそろ体力の限界がきたらしい。

私は弱々しくその一言だけ呟き倒れる。

そこは誰も居ない場所。

ビチャッと水しぶきをあげる。

私は荒く息をついた。

体が熱い。

私ここで死んじゃうのかな？

朦朧とし始めた意識。

その時誰かが私に手を差し伸べた。

｢大丈夫ですか？｣

それが私の人生を大きく変えることになる人物。

ある1人の"歌い手さん"との出会い。