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そうして拭いていると、ふいに視線を感じた気がして私は手を止めた。
「二宮さん？」
視線を感じる方を見ると二宮さんがシンク用のたわしを手に私を見つめていた。
私の声に小さく首を振る。
「ああごめん。ちょっと、なんていうかいいなあと思って」
「いいなあ……？」
「うん。丁寧に掃除してくれるし、料理も美味しいし、すごく……なんていうか、イイよ」
「ありがとうございます……？」
でいいのかな。
優しい声色で言う二宮さんに戸惑いながら私は笑みを浮かべてみる。
「うん、翔ちゃんにぴったり」
「はい？」
笑みを浮かべた私の口から思わず声が漏れ出た。
二宮さんが私の顔を見て笑っている。
「あはは、鳩が豆鉄砲食ったような顔してる。んふふ」
含んだように息で笑いながら二宮さんはたわしから手を放してシンクに手をついた。
私の顔をのぞき込むみたいにキッチンの方へ寄りかかる。
「でも、これは少し真面目な話」
唇はまだ弧を描いているけど二宮さんはどこか真剣な声色で言った。
「翔ちゃん、一時期うちで婚活しようか悩んでたみたいだけどやめたんだよね。たぶん雛田さんのおかげ。ありがとね」
「婚活……」
「そ。荒れてたでしょ、翔ちゃんの部屋。本人も荒れてたんだけどさあの頃。結婚しちゃえば変わるかもって思ってたみたい。……もちろん、部屋が綺麗になるって話じゃないよ？」
二宮さんの手が水栓を捻る。
流れ落ちた水がさらさらとシンクで弾けて音を立てた。
「でも、何もできなかったから。二人そろって」
「二人？」
手を洗った二宮さんがきゅっと水栓を捻る。
水が止まるとタオルでパッパと手を拭いた。
「そ、二人。翔ちゃん、手料理とか好きなのにそれも我慢してさ。部屋が散らかったって文句も言わないで。我慢してばっかだったからさ」
キッチン台に手をついた二宮さんは記憶の中の何かでも見るように付いた手と手の真ん中を見つめている。
「雛田さんが来るようになってからそれが無くなって、俺としては安心してんだよね」
ふっと二宮さんの薄い眉が下げられる。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» はじめまして！まだなんですよ〜、今しばしやきもきしてください。甘沈以来なんとなく使い続けている言い回しですが、実際〇〇の部分のために組んだお話だったりもして、意外としっくり来てたりするもので。まさか気に入ってくださる方がいるとはとても嬉しいです。 (2021年4月17日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» ようやくいいところまで言ったんですがね、あとちょっとお預けです。移行先では新たな展開なので、もうしばらくやきもきしてもらえたらと思います！ (2021年4月17日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - こんばんは。まだ言わないんですか！？と思わず声に出してしまったことだけをお伝えしたく初めてコメさせて頂きました。初コメの勢いで、こちらも他のお話でも『○○したいだけのお話です』という行が好きです。という告白もさせて頂きます。 (2021年4月15日 21時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さんいい所まで言いましたね(^^♪ ヤキモキしながら見守りたいと思います！！移行楽しみにしています(^^) (2021年4月15日 21時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - きーちゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます。きゅんきゅんしていただけましたか？そのお言葉がとても嬉しいです！Sさんが格好良く映っているようでしたら光栄に思います。 (2021年4月13日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年3月2日 14時
