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「もういい。もうすぐ授業だ。教室に戻れ」
先生の声だけの威嚇。されどそれはすごい迫力で守られているはずの私でも一瞬尻ごんだ。里見君は逃げるように教室に戻る。美術室の扉が音を立てて閉じられた。
二人きりになる。先生は未だに手を離さない。怖がらせて悪かった。前を向いたまま言う彼の顔は見えない。大丈夫です、と私が笑えば、先生も笑ってくれた。彼は振り返り、顔がやっと見える。その時、目が合った
何故だろう、そらせない。距離はどんどん近くなる。先生の目は熱を持っていた。あ、コレはそういう流れだ。瞬時にそう思った私はぎゅっと目を瞑る。腰をさらに引き寄せられ、体が密着した。彼の左手が私の頬を包み、固定される。
唇があわさった。初めはいつもの触れるだけのキス。だけどそれはどんどん深さをます。鼻から息が漏れた。息継ぎの仕方がわからなくて口を開ければそこから生暖かいものが入ってくる。絡みつき、全て吸い取られる。こんなの初めてで、先生が口を離す頃には足に力が入らず、彼にもたれかかった。
そんな私の様子を見て、支えるように椅子に座らせてくれる
「大丈夫か?」
『大丈夫って、先生が…』
呼吸が整った頃に顔を覗き込んでくる彼は、心底心配している顔だったけど、その原因は貴方だと言いたい
「里見に言われた事、気にすんなよ」
『気に止めやしませんよ。先生も私も、そんな安い脅しじゃ折れない』
口調が変わるほどの里見君への怒りで言い切った私に、吹き出し笑う先生。控えめに口元に手を当て笑いをこらえるけど、 堪えきれてない。
「お前はやっぱりカッコイイな」
『それは先生です』
「いや顔じゃなくて」
『自分の顔がカッコイイのは自覚してるんだ』
「そりゃ、毎日のようにお前に言われてたからなぁ」
指で頬をかく先生。さっきの大人な雰囲気は何処へやら。いつもの私たちの雰囲気に戻るのは以外にも早かった
『と言うか先生、助けるならもうちょっと早く助けてくださいよ』
「お前が自分の力で何かを成し遂げようとしてたんだ。そこに俺は邪魔だよ」
隣の椅子に腰を下ろした彼は、肘をつきこちらを見ていた。でも、と付け加える先生。肘をついた手と反対の手…右手が再び私の頬に渡った。
「あんなに顔が近いのはどうかと思うがな。カメラの角度が悪かったら、勘違いする所だった」
冗談めかしく言うけれどその目は笑ってなくて、本気なのがわかった
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年8月20日 18時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎(プロフ) - 初めまして!柊一颯落ちで物凄く嬉しいです!!更新待っています!これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 21時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - しろごめさん» ありがとうございます!柊先生オチです(≧ω≦)bこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年3月16日 8時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
しろごめ(プロフ) - コメント失礼します!ぶっきー落ちと聞いて見に来ました!笑更新頑張ってください、応援してます!!(*´∀`*) (2019年3月15日 23時) (レス) id: f6e80c062e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くすさな x他1人 | 作成日時:2019年3月14日 23時