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手を繋いだまま、黙って私のそばを離れない彼女。きゅっと肩が引っ付く程近い距離は、寄り添ってくれてるのだろう。暖かい。すると先生がこちらに静かに歩いてきた。皆の視線は里見君達に向いているから、その動きに気付く人は居ない。
｢大丈夫か？｣
『はい』
｢……そうか｣
先生も茅野ちゃんと同じ様に引っ付いてきた。私は茅野ちゃんと先生に挟まれるようにして立っている状態。二人とも変に言葉をかけないで、静かに慰めてくれる。この状況でも何だか笑顔になれた。
｢何も言い返さないんだな｣
『…最後の嘘以外は殆ど間違ってないですしね』
そんな風に話していれば現実に引き戻される。里見君と真壁君の会話はヒートアップし、ついに里見君が真壁君の胸ぐらを掴んでいた。それを見た先生はスっと2人の元へ行く。
「なんで俺がこいつより弱ぇんだよ！…おかしいだろ、なんでだよ…？こんな奴に負けっかよ、こんな奴に…！なんなんだよ、その目は…！！」
｢……｣
怒り狂う里見君とは対極に真壁君は落ち着き払っていて、静かに彼を見つめていた。その瞳が気に食わない様子の里見君は、それについてさらに食いつく。あの目は絶望を知り、底から立ち直った人の目だ。それを私は知っていた。
彼が、私とは違うものの彼にとって同じくらいの絶望を味わった事を、私は知っている。
思い出すのは過去の記憶。澪奈を真壁君が守り、怪我を負ったと知らされた私と茅野ちゃんは、2人で彼が入院する病院に向かった。途中熊沢さんとすれ違ったけど、彼女が涙目だったのを見て声をかけるのをやめた。
看護師さんに注意されながらも駆け足で向かった病室。扉を開ければ顔面を強烈な痛みが襲う。私の顔にあたり地面に落ちたそれを見ればフルーツのたくさん入ったバスケット。まさかの籠ごと投げられたらしい。
隣には口が空いたままの茅野ちゃん。そしてベッドに横になっているのは、これを投げた本人であろう真壁君。その顔はしまったとでもいいだけな表情で、多分私の推測だけど私達の事を熊沢さんだと思ったのだろう。
それならそれで投げないであげて欲しいけど。
｢……ごめん。間違えた｣
『間違いでもこれは投げられたら痛い……』
｢ほんと、ごめん｣
バスケットを拾い、それを手渡す。椅子がひとつ置いてあったけど、二人で来ている私達はそれには座らなかった。ベッドの脇に並んで立つ。真壁君の様子を見ると、それに気づいたのか彼は脚を隠すように布団を被せた。
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年8月20日 18時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎(プロフ) - 初めまして！柊一颯落ちで物凄く嬉しいです！！更新待っています！これからも頑張ってください！！ (2021年2月26日 21時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - しろごめさん» ありがとうございます！柊先生オチです(≧ω≦)bこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年3月16日 8時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
しろごめ(プロフ) - コメント失礼します！ぶっきー落ちと聞いて見に来ました！笑更新頑張ってください、応援してます！！(*´∀｀*) (2019年3月15日 23時) (レス) id: f6e80c062e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くすさな x他1人 | 作成日時：2019年3月14日 23時
