ピースサイン（米津玄師） (ページ42)

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理由37 ページ42

サヤsaid

目の前で降ってきそうなくらいに咲いた花火が夜空を照らす。
夜に咲いて静かに消えた。

サヤ「わぁ、綺麗。空に大きな花が咲いたみたい」

玄師「そうだね、大きくてとても綺麗」

サヤ「此処って一番近くで花火が見れるんだったよね」

玄師「うん、そうだよ。それに誰もいないから見えないなんて事はない」

私はそんな玄師くんの横で歓喜の声を出して花火を見ていた。
この夜が続いて欲しいなんて思ってしまうくらいに美しい眺めだった。

サヤ「あとなんど玄師くんと同じ花火を見られるかな」

ってそう言って笑うと同時に少しだけ後悔した。
いつか会える事を信じてそう言ったのに玄師くんが気づいたなら私はまた泣いてしまうのだろう。

玄師「何度だって2人でみようよ」

サヤ「…うん、そうだよね」

あぁ、何だか胸の奥に痛みを感じる。
切ないよ。

すると玄師くんがいつの間にか手を握っていた。
私はそれに気づいて握り返した。
離れないでもう少しだけこのままでいたいな。

夏の終わりはもうそこまで来ているのだから。

玄師said

パッと光って咲いた花火をサヤと見ていた。

サヤ「あとなんど玄師くんと同じ花火を見られるかな」

そうやって笑う顔にに何が出来るだろうか。
傷つくこと喜ぶことを僕らはきっと繰り返してきた。

その顔が何度か切なく感じたのは夏のせいなのだろうか。

玄師「何度だって2人で見ようよ」

サヤ「…うん、そうだよね」

そうやって頷く彼女の横顔はやっぱり切なくてまるで夏が終わってしまうみたいな感じだった。
ハッと息を飲めば消えちゃいそうな光が胸に住んでいるとしたらそれは今の僕の感情なのかもしれない。

気づいたら僕はそんなサヤの手を握っていてサヤもいつの間にか握り返していた。

夏の終わりはもう近いのかもしれない。

離さないでもう少しだけこのままで居させて。
花火は一つ遅れた音を立てて何度も咲いた。
そして、静かに消えるのを繰り返した。

サヤ「また玄師くんと2人でこうやって花火を見たいな」

サヤはまたそう呟いて笑った。
僕もまたサヤと2人でこんな風に花火を見ることが出来るのならと同じように笑った。