ピースサイン（米津玄師） (ページ5)

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理由１ページ5

サヤside

玄師くんごめんね。

それは突然の事だった。

母「…え？転勤？！どういう事よ？」

父「…決まったことなんだ」

サヤ「…お母さん？」

朝起きるといつもは穏やかな母と無口な父が珍しく言い合っていた。
私は母の怒鳴る声で目を覚ました。

母「サヤ、何でもないの。ほら、ご飯食べたら早く出かけなさい」

サヤ「はーい」

母は慌てた口ぶりでそう言ってご飯を用意してくれた。
「転勤」
私にはその言葉がはっきりと聞こえた。
それってつまり引っ越すってこと？

何も言わずに聞かなかったことにしてやり過ごした。

サヤ「玄師くんの所行こう」

母「そう、行ってらしゃい！」

父「…」

サヤ「お母さん行ってきます」

まだ父は無言でご飯を食べていた。
「行ってらっしゃい」ぐらい言えばいいのに。

今日は学校は休みだ。家にいるとつまらない。

サヤ「玄師くん！起ーきーて！！」

玄師「…ん？サヤおやすみ…」

サヤ「いや、起きてよ？！」

これは絶対寝ぼけてるやつだ。
今の私はというと玄師くんの部屋にいるという現状だ。
家が隣なので休みはいつもこんな感じである。
玄師くんのお母さんに許可をもらって勝手に玄師くんの部屋に入る。

玄師「…今日休みじゃん。まだ寝てよう？」

サヤ「何言ってんの？もう１０時なんだけど！」

玄師「休みはいつもこのくらい…」

サヤ「私帰るよ？」

私がそう言うと玄師くんガバッと飛び起きた。

玄師「あ、起きたから。帰らないで」

サヤ「起きれるじゃん。あと人を抱き枕にするの止めてくれますか？」

玄師「そうしないとサヤ逃げるから」

サヤ「逃げないから離して」

玄師「いやなの？」

少しシュンとして悲しそうな声で言う。
私がこれ弱いの知っててやってんなこの人。
嫌なんて言えるわけないじゃん。

サヤ「そんなことない！けど…」

玄師「？…そっか、ふふっ」

そこで含み笑いされても困るんだけど！
この笑顔をあと何回見れるんだろう。

玄師「そういえば、なんかあった？」

サヤ「…っ！いや、特に何もないけど」

玄師「じゃあ、なんで目を逸らすの？」

今、玄師くんの目を見たら泣いてしまいそうだったから。
だって、もしかしたら私は引っ越すかもしれないんだよ？

そしたら私…玄師くんに会えなくなるかもしれないんだよ？