27話 ページ27
『えっ…!全然そんなことないよ?』
紫「隠しても無駄だよ?俺、まだAと出会ったばっかだし、話すの嫌かもしれないけどさ。心配なんだ。」
この人になら言える気がした。
封じたい過去も。
『5歳の時、両親が交通事故で死んだの。まだ5歳だったから、その時のことはよくおぼえてないんだけど、毎日毎日泣いてことだけは覚えてる。』
『そのあとはおばあちゃんに育てられたんだけど、学校では親がいないからっていう理由でいじめられて。』
『でもそんなことおばあちゃんには言えなくて、高校上がるときに一人暮らしを始めたんだ。』
紫耀は私の話を頷きながら一生懸命聞いてくれた。
『…だからっ、ずっと友達ができなくてっ、1人で過ごすことが多くてっ、だからねっ…。』
今まで隠していた気持ちが溢れて、それと同時に涙も溢れた。
『え、ちょっと…?』
急に肩に手を回され、気づけば紫耀に抱きしめられていた。
紫「…そうなんだ。辛かったね。話してくれてありがとう。」
『ごめんねっ…。』
優しい言葉をかけられたら涙が止まらなかった。
紫「…でもね。もう怖がんなくていいんだよ。昔のことは考えちゃだめ。ね?これからは良い友達沢山作って、楽しまないと。」
そう言うと紫耀は抱きしめながら頭をぽんぽんしてくれた。
『うんっ、ありがとう…!』
明日からは少しだけ、自信を持って生きられる気がした。
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作者名:べ に 子 | 作成日時:2018年12月19日 22時