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「…いや、ちょっと待ってくれや、旦那。いくらあの女の術が強力で、種類があったといえど、さすがに神を堕とし操るなんて術はないだろ」
たしかに。
そう頷くが、実際よく分からない。
おちる、というのがどういうものかがまず分からないから。
ただ、よくはないということは解る。
気持ちによっておちるのだろうか。
もしかして、堕天使とかいう方の堕ちる、かもしれない。
堕天使と同じ堕ちるだったら…、目の赤い三日月宗近さんは、制御できずに堕ちた、のかな。
それにしてもくそ女は無駄なところですごいな。
どうやって死んだんだろう。
「…よく言う…」
ぼそりと聞こえた言葉。
一番部屋の奥のにいる私に聞こえた呟き。
『え』
「戯れ言だ」
黒さを増した三日月宗近さんは、笑った。
目を、細めて、妖艶に、綺麗に、気味悪く。
ぞっとした。
『う、嘘』
突然のことだった。
目の前の薄い青の結界が、溶けだした。
目の赤い三日月宗近さんと私たちを阻んでいた、唯一の壁が今、無くなっていく。
あらゆる箇所に、穴が空き、じわじわと崩れていく。
「戦闘か。ひっさびさだなぁ、鵺!」
「…やはり、こうなってしまいましたか」
「仲間同士だったはずなんだかなぁ…。ま、堕ちた
みなさん首を回して骨を鳴らしたり、目を閉じていたり、戦いの準備をしている。
嫌な予感がする。
心臓がうるさい。
耳元で太鼓が叩かれているようだった。
「俺はお主等と戦うことなど望んでいないのだが…」
これはあれだ。
そこの小娘一人引き渡せば…的な展開になるやつや。
「そこの人間一人殺してしまえば終わるのだが…」
。
流れ的にはそうだったけど何段階か上だった。
物騒なことをおっしゃる☆
「断る」
キィン!!!
目の前で刀が十字になった。
爛々と赤く光る目と視線は重なった。
「お前の相手は俺だ。あやつを殺すのは後だ」
舌打ちが聞こえた気がするが、そんなことはどうでもいい。
今にも刀の刃が当たりそうだった。
「逃げるぞ」
そう言って薬研さんが少し強引に手を引く。
私の後ろは障子の窓。
「逃がすか!」
「おっと!よそ見してる場合じゃねぇぜ!!」
ガキィン、と金属音が耳に響く。
立て付けが悪くなった窓を薬研さんは蹴破る。
薬研さんは、私を窓辺に引っ張る。
風が当たり、寒いと思った瞬間、けっこう強めに押された。
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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時