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「……。」




そこまで言うと、私達の間に静かな沈黙が続く。



こんな沈黙は何回目だろう。



いつまでたっても慣れない。



どうしても伊沢さんの顔が見れなかった。



こんな私に失望したのだろうか。



そんなことなら、あんなこと言わなきゃよかった。



悪い思考がどうしても頭の中をぐるぐると回ってしまう。



「良かったぁ〜…!」



「は…?」



伊沢さんの一言に思わず、気の抜けたような声が出た。



「どういうことですか…?」



唖然のする私とは裏腹に微笑む伊沢さんの思考は、理解できない。



「俺さ、キツイことばっか言っちゃってて…正直嫌われてるかと思った。
でも俺が本音で話したらAちゃんも本音で向かってきてくれた。」



「それが本当に嬉しいんだ。」



そう言って微笑む伊沢さんの言葉に何故か心が温かくなったような気がした。



本音、か。



私は無意識のうちに自分の思いを伝えてたんだ。



伊沢さんならきっと受け止めてくれる、そうどこかで思ってた。



それはまるで、



「まるで…友達みたい。」



自然と頬が綻んだ。



「ならそれでいいんじゃない?」



伊沢さんがそう言った。



「友達って正直、基準や定義なんてないんだよ。
“なにしたらなれる”とか“こうすればいい”とかそんなの個人の自由。
正解なんてない、例えば道徳だってそうでしょ?」



私はずっと伊沢さんに気付かされてばかり。



「そっか…そうですよね。…ははっ、なんか今まで真剣に考えてた私が馬鹿みたいだなぁ。」



そう考えると思わず笑ってしまう。



友達なんていらないとか傷付くくらいならこのままでとか、



私、友達ってなんなのか最初から理解してなかったんだ。



「そんなことないよ、そのおかげで気付けたんだから。」



伊沢さんはいつだって優しい。



どんなときだって私が一番言ってほしい事を言ってくれる。



「なんか色々吹っ切れました…ありがとうございます。」



「伊沢さんが言うように友達の基準が自分で決めるものならば、」



「伊沢さんはもう私の大切な友達です」



先輩が友達なんて可笑しいですかね、そう言って私は微笑んだ。



「力になれて良かった。…じゃあ俺はAちゃんの二人目の友達かな。」

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おれを@コメ専用(プロフ) - れもん味さん» ありがとうございます^^とても励みになります!グダグダな話にはなりますが、これからも応援よろしくお願いします!^^ (2018年11月22日 0時) (レス) id: 1ca3bc7ae9 (このIDを非表示/違反報告)
れもん味 - すっごい面白いです!主人公のミステリアスな感じが好きです!更新頑張ってください! (2018年11月19日 17時) (レス) id: 2102dbe1ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おれを | 作成日時:2018年11月13日 22時

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