150話 ページ23
……日記を読み、彼らは思わず唇を噛み締めた。
一部の兵士達に限ったことではあったが、「女が幹部なんて」と疎まれ、「色目を使った」なんて難癖つけられ、眉根を寄せるような言葉を浴びせられて。
その事実だけ、淡々と綴られていたのだ。
頑張り過ぎて眠れなくなって、それでもずっと笑顔でいたAを思うと胸が潰れそうだった。
「………許せへんな」
そうとだけゾムがポツンと呟くと、ロボロが静かに頷いた。
「許せへんよ。…こんな目に合わせたクズもやけど……気づけなかった俺も」
「Aさん、全然相談とかしてくれへんくて…言うてくれたらワイ、そいつら細切れにしたったんに」
「…アイツ、辛いとか悲しいとか言ってくれへんもんなぁ。その分俺らが気がついて、フォローしてあげなあかんかったわ」
ギリ、と大先生が歯を食いしばった。
皆、怒りと無力感でいっぱいだった。
誰かが何か言いそうになったとき、全員の耳のインカムが鳴る。
《連絡、Aが起きたで》
「……了解、医務室向かうわ。」
「こっちも、原因掴めたで」
《!?マジで?じゃあこっちきてAに直接話したって。……てかなんか、怒ってへん?》
「……怒っとりますよ、史上最高レベルで」
それだけ言い、インカムを切る。
4人は黙って廊下へ出た。
『…あ。ゾムとショッピくんと…大先生と、ロボロや』
医務室に入ったと同時に、Aのそんな声が聞こえた。
どこ行ってたん?
そう笑いながら問いかけてくるAに、思わず涙が出そうになる。
「……Aっ……!」
『え、何々どしたん』
ゾムが駆け寄って、Aの頬を両手で挟んで上を向かせる。
急なその行動に、何故か無関係のエーミールがアワアワする。
「お前っ……ちゃんと、辛かったら辛いって言うんやで」
『……!』
「嫌なことされたら嫌って言って、誰に何されたか俺らに言うんや。お前が全部悪いなんてこと絶対ないし、泣きたい時はちゃんと泣き。」
ゾムは、言い終えると同時にぎゅうっとAを抱きしめる。
それを見てロボロ、大先生、ショッピも歩み寄った。
「…ゾムさんの言う通りっすよ。ほんま…自分を大切にしてや」
「抱え込みすぎんのも考えものやで。なんかあったらすぐ吐き出してまえばええんや」
「溜め込むとこんな風に、もっと辛くなってまうからな」
よしよし、と頭を撫でられて、驚いたように目を見開くA。
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774号(現在稼働中)(プロフ) - Nebelさん» もちろんです!掲載は遅くなってしまうかもしれませんが……ですが、リクエストを頂けるの、本当に嬉しいんです!いつもありがとうございます!! (2022年8月19日 8時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
774号(現在稼働中)(プロフ) - マロンさん» ぁ、コメント欄に天使様が……!(跪く)今日中には1話更新できると思うのでどうかお待ちください…! (2022年8月19日 8時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
Nebel(プロフ) - !? 2つともリクエスト書いてくださるんですか!?本当にありがとうございます!!本当に4回目にもかかわらずリクエスト聞いてくださってありがとうございます!! (2022年8月19日 2時) (レス) @page40 id: ad724ae68b (このIDを非表示/違反報告)
マロン(プロフ) - リクエストを受けてくださるだけでありがたいです!いくらでも待ちますので、無理せず書いてくださいね (2022年8月19日 1時) (レス) @page40 id: 3bf4e7811a (このIDを非表示/違反報告)
774号(現在稼働中)(プロフ) - Nebelさん» 4回目!!!感涙です!!!もちろん、お受け致します!!!せっかくなので2つとも書いてしまいますね。マロン様のリクエストを書き終わったら直ぐ取り掛からせていただきます!! (2022年8月18日 11時) (レス) id: 982b5437b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:774号(現在稼働中) | 作者ホームページ:os復活!!うおぉおおおおおおおおおおおお!!!!
作成日時:2022年6月26日 21時