【d!】内ゲバせぇへん！？４

142話 ページ15

「…あ、A」

『あぁ、マンちゃんじゃん。』


調べ物？
そう言って笑うAに少し違和感を覚えながらも、頷いて重い資料を持ったAの隣に並んだ。


「Aは何しとるん？」

『あ〜……仕事』

「仕事？」

今日、資料使う仕事なんてAに出とったっけ？と首を傾げて問うと、曖昧な笑みを浮かべて答えた。


『いやぁ、これ私の管轄やないんよ実は』

「……は？」


管轄外の仕事…？といよいよ何が何だかわからなくなったオスマンに、なにかを弁解する様に重ねてAが言った。



『いやほら、ちょっと経験積んどかな〜、思て。これ』



差し出された資料はよくみると手作業で丸写しされた、手書きのものだった。

まだロボロたち機械システム班が“コピー機”という文明の利器を生み出してなかった頃の話である。
びっしりと文字が並ぶその書類は、ざっと見ても100枚はゆうに超えている。所々にAの筆跡で何か書き込まれていた。


「…これ、全部写したん？」

『？おん。…あぁほら、私あんま出来る方ではないやん？だからこんぐらいやらんと』


な？
そういうAの様子は、やはりどこかおかしく感じられた。


「ぇ、いやいや、おかしいて。だってこんな仕事量……大体、こんなんやっていつものペースで社畜やっとったらA、いつ寝るん？」


『あ〜……それはまぁ…忘れてた、というか』

「睡眠を！？」


確かに、よくよく見るとAは顔色が悪い。
ほぼいつも通りのトーンで話しているが、言われてみれば語尾は少し震えていた。


「ちょ、寝なあかんよ！！何徹目！？」

『……5、は……超えてるかも』

「なにしとんねん！！？」


大丈夫やって〜、とひらひら振る手を叱るようにオスマンが掴む。


「ダメやって…寝よ、それが一番ええ。なんか今日Aおかしいで？」

『…おかしい言うたって……だって、こんなんじゃ……』

「え？」

『こんなんじゃ私、部下にすら頼ってもらえん……唯の、お荷物になってまうよ』

「そんな事っ────」


間髪入れずにオスマンが切り返した瞬間、ズルッとAの体が視界から消えた。


『…っ……はぁっ…待って、あかんわこれ』

「っA！」

『やっべ…』


その言葉を最後に、Aは目を閉じた。

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