【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ7

料理を運んでくれるゾムくんと食堂に入ると、誰かの怒ったような声が聞こえてきた。
何事かと思ったら、そこにはグルちゃんに向かって何やら怒っているエーミールくんがいた。

「今すぐ出て行ってください！今は、顔も見たくないんです！」
「俺が何処にいたって、俺の勝手だろ」

どうやら、エーミールくんが一方的にグルちゃんを邪険に扱っているようだが。
それでも話が見えない私たちは、言い合う二人をぽけーっと眺めていたショッピくんに声を掛ける。

「…ショッピくん、エーミールくん達どうしたの？」

するとショッピくんは、あまり二人には関わりたくないと言いたげな顔で答えた。

「エミさん、さっきまでは普通だったんですけど。グルさんが食堂に入ってきた途端、急に怒り出して」
「は？なんで？」
「知りませんよ。でも多分、ロボロさんのことで怒ってるんじゃないですか？」

ゾムくんの問いにそう答えたショッピくんに、私たちは納得して頷く。
ロボロくんに殺人を仄かし、処刑へ追いやったのは紛れもなくグルちゃんだ。
そんなグルちゃんが平然と食堂に現れたのが、エーミールくんは許せないのだろう。


「アンタ、殺人の手助けした共犯者って自覚はないんですか！？」
「勿論自覚ぐらいある、お前らは俺が気に食わないんだろ。でもだからって俺を飢え死にさせていい理由にはならない」

余程殺されない自信があるのか、グルちゃんは余裕そうな笑みを浮かべて言い放つ。
9人の死を間近で見てきた私達だからこそ、人一番命の尊さを感じている。
例え極悪人であろうとも、見殺していい命なんて一つもないのだ。
どんなにグルちゃんが悪くても、気に食わなくても、私たちがグルちゃんを殺すことはできない。

「一回落ち着こ、エーミール。グルッペンを許さへん気持ちは俺らも同じや」
「っ…」

ゾムくんが二人の間に入りながらそう宥めると、エーミールくんは素直に大人しくなる。
そしてグルちゃんの方を睨みながら、彼から一番遠い席に着いた。

「まさか、ゾム先生にまで嫌われてるとは思わなかったな」
「…は？」
「本来のお前なら‘‘此方側’’の人間のはずだろ。Aたちと一緒にいて、無駄に丸くなったか？」
「……………」

ニヤニヤと笑うグルちゃんに反して、エーミールくん同様にグルちゃんを睨みつけるゾムくん。
しかし何か言い返す訳でもなく、ゾムくんは無視をして料理をテーブルに並べ直した。

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独→←CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す