死んでもいいわ ページ10
*
23時。
私とテヒョン君は仲良く二人であがり、店を後にする。
「今日も送ってくね」
その一言にこくりと頷けば、ニヒって笑って当たり前みたいに私の隣を歩くテヒョン君。
こうやって夜遅い時間帯は必ず送ってくれる。
初めは断っていたけれど、なんだかんだ暗い道が怖かった私は彼の好意に甘えることにした。
といってもコンビニと駅までの所要時間は10分も掛からない程度だけれど。
23時にもなれば当たり前に人気はなくて。
街灯と月と隣を歩く彼の足音だけが私に安心感を与えてくれる。
信号機が点滅し、赤を示せば同じタイミングで止まる私たちの足。
そんな静寂の中、隣で小さく息を吸う音が聞こえた。
「・・・月がきれいですね」
上弦の月を背景にして、
耳を吹き抜けた低音とテヒョン君の横顔は息を呑むほど綺麗だった。
「なんつって。・・・ってAちゃん？」
私の眼前で「おーい」と手を振るテヒョン君。
「え、あ、ごめん。ボーっとしてた。」
まさか、見惚れてましたなんて口が裂けても言えない。
「今の顔ちょっと間抜けだったから写メりたかったなー」
「失礼だな」
へへへ、って笑うテヒョン君。
気づけば信号は青に変わり、私たちはどちらともなく歩き始める。
駅はもうすぐそこにある。
「あ、そういえば」
「ん？」
「さっきの。月がきれいですねって言われたら」
「・・・・・・」
「死んでもいいわ、って返すんだよね？」
そう言って、テヒョン君を隣から見上げれば
「Aちゃん、着いた」
駅を指さして四角い口で笑って見せた。
「・・・あ、うん」
「じゃ、気を付けて帰ってね」
「大丈夫、あと電車だけだから(笑)テヒョン君こそ気を付けて」
「だいじょぶ、俺んちも目と鼻の先だから(笑)」
そう言って二人して笑いあう。
「それじゃね」
「また次のバイトでよろしくね」
運よくちょうどホームに滑り込んできた電車に乗る。
乗り口に近い位置に腰を下ろして、習慣のようにスマホを見れば
【気を付けて帰ってね(´･ω･｀)】
さっき別れたばっかなのに。
可愛い顔文字に思わず笑みがこぼれた。
あ、結局聞けないままだったな。
『月がきれいですね』
突然、どうしてあんなこと言ったんだろ。
元々変わった子だとは思ってたけど、やっぱ改めて不思議ちゃんだな。
そんなことを考えつつ、揺れる車内の中で
彼への返事を打つ。
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あ(プロフ) - これ続き消しましたか？ (2020年8月4日 2時) (
レス) id: 3dd0ee7796 (このIDを非表示/違反報告)
zin(プロフ) - 上手くいかない、もどかしい、哀しい、辛い……。本当に切ないです。でも お話に出てくる子達が主人公をはじめ、みんなイイ子で魅力的です。ミンギュ君 テヒョン君、ナイスです！やっぱり私は胸が痛くなるけど 切ないお話が大好きみたいです^^ 更新楽しみにしています。 (2017年11月4日 1時) (レス) id: f535f69715 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - ミンギュ出てきた！ちょー嬉しい！！テテの「月が綺麗ですね」って言うのに凄くキュンキュンした！でもそれに「それ言われたら、死んでもいいって返すんだよね。」って言った主人公に一瞬、戸惑ったわww作者さいこーww (2017年11月3日 22時) (レス) id: 3d31ebd9bc (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - オトコトモダチが1番大好きで更新されるの楽しみにしてます！ (2017年11月3日 6時) (レス) id: 4dbcce6e2c (このIDを非表示/違反報告)
マル - ヤバイです！めちゃくちゃキュンキュンします！2人の関係性が羨ましすぎで夜中にキュンキュンしてしまいました(^_^)更新楽しみにしてます！ (2017年10月28日 2時) (レス) id: 9861427ca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆乳 | 作成日時：2017年7月2日 20時
