ジュウヨン! ページ15
「A!」
「キャプテン…!」
ほぼ毎日、チームメイトの誰かが、お見舞いに来てくれる。
今日はキャプテンの、七海先輩だった。
「調子はどう?」
「もう平気です!」
そっかと呟くキャプテン。
私はキャプテンにある話を始めた。
「スポーツには怪我は付き物って言うじゃないですか。」
「うん、そうだね。」
「治せる人って、ほんのひと握りなんですって」
「うん」
「だから、私、女バレやめます」
そういうとキャプテンは笑って私を見た。
「なんとなく、そんな気がしたよ」
キャプテンは県内でも有望なセッターだ。
そんなセッターだから、見破られていても、なんら不思議ではなかった。
「辛いよね。」
「はい」
そういうと、キャプテンは紙袋から何が取りだした。
「これ、Aが今年着るはずだったユニフォーム。
先生に我儘言ってもう1着作ってもらったの」
「え」
「大事にしてね、エース」
そういって、キャプテンは帰って行った。
私は受け取ったユニフォームを抱いて、声が枯れるまで泣いた。
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作者名:とまと | 作成日時:2022年9月19日 1時