聖母が四人 ページ6
「──ほんとに、Aちゃんなの……？ アタシの、夢だとかじゃなくて？」
「ちょっとなるくんアンタねぇ、Aから離れてくれるぅ！？」
そう言って泉は僕に抱きついて離れそうにない嵐君の事を引き離そうとする……けど、嵐君はそう簡単に離れようとはしない。
そう言えば、泉もこんな感じだったような。
なんて言えば、きっと顔を赤くして怒るだろうから言わないけれど。
「夢じゃなくて、本物だよ？」
「……そう、よね。夢じゃないのよね」
やっと落ち着いたのか、嵐君はさっきの様に夢じゃないのか。みたいな言葉を発する事はなくなった。
「じゃあ改めて──ただいま、嵐君。そして凛月君も、ただいま」
扉の影に隠れていた凛月君の方を見て、微笑みながら言う。
さっきから、いたもんね？
でも、上手くタイミングを逃してこの部屋には入れなかった。
だからきっと、そんな所にいたんだと思う。
「──ばか、ばかばかばかッ！！ さっくんのばか！ あれ程言ってたのにッ！ 俺を置いてかないでよッ！ ……心配、したじゃんかッ！」
気付かれていることに気付いた凛月君の行動は早くて。
ご丁寧に嵐君を弾き、僕に思いっきりタックルを決めた。
その言葉は、彼との約束を破ったという事に他なかった。
僕は、凛月君との約束を破ってしまった。だから、嫌われると考えていた。あの日みたいに、笑い合うことなんて、二度とないだろう。
……そう、考えていたんだ。
「おかえり、さっくん。また血、吸わせてよねぇ……？」
でも、その心配は、不安は、全くいらなかったみたいで、その事実が嬉しくて、僕は笑った。
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クロりんご(プロフ) - 夕霧さん» コメントありがとうございます！はい！頑張ります！ (2018年8月7日 17時) (
レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2018年8月7日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロりんご
| 作成日時：2018年5月15日 21時
