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「おい、お前が綾辻Aか、」
「…誰」
「九井一だ。」
「…聞いた事あるよ君の名前。金を作る天才だって」
中学生ながら初めての出会いはホテル街のど真ん中だった。なんで知ってるんだって顔をする目の前の九井一に俺はこう答えた。
「夜の街に行き渡る情報量って半端じゃないんだよ」
そう告げれば、へぇと興味深いする顔をする九井一は、俺と組まないか。と手を差し出したのだ。突然の事に目を見開いたけれど、いつも同じ事ばかりで飽き飽きしていた俺は、退屈しのぎにでもなるかなとその場のノリでその手を取った。
お互い深く詮索しない事を条件に俺が得た情報をココに渡し、それをココがお金に作り替えていく。報酬はそのお金の1部。そういった風に俺とココのタッグはできた。それがとんでもなく楽しかった。
「…乾青宗。」
「俺はA。ココからいつも聞いてる、イヌピーって」
「そうか、宜しく。」
左側に火傷跡の残る彼は、ココと幼馴染で、同じチームに属していると聞いていた。彼に出会ってそれからは3人で過ごすことも多くなった。
「ココ、はい」
「おう、サンキュ」
「俺の仕事終わったし、イヌピー出掛けよ」
「分かった。準備する」
「俺はこれから仕事だって言うのにお前ら」
俺が情報を渡せば後はココの仕事なので、俺は暇になる。そんな時はいつもイヌピーを誘って出掛ける。それに拗ねるのがココ、これがいつものルーティンの1つだった。
「…イヌピーは」
「知らん」
俺は2人がどんなチームに属してどんな事をしているのか少しは知ってたけど深く詮索していない。それが約束だったから。コロコロと変わる特攻服にも俺は口を出さなかった。
イヌピーが話してくれた事がある。ココが好きな人はイヌピーのお姉さんでその人の手術費の為にお金を稼いでいたけれどもう死んでしまった事。イヌピーをお姉さんと重ねている事も。
そのまま2人だけになった廃屋で無言のままの時間が過ぎる。
「お前は俺の元を離れるか」
昔から孤児として生きてきた。10を過ぎた頃には自分の顔が中性的で身長も高く、どちらにでもモテた。その顔を使って年齢を偽って夜の街を回りながら生きていくだけのお金を稼いで食い繋いで来た。
だから、ココの元を離れれば昔と同じ生活をするだけ。そんな生活をするぐらいならずっとココの元で動きたい。
ポツリとそう語った俺をココはそうか、とだけ返事をしてキーボードを打つ手を再開した。
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綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました!こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください! (7月27日 21時) (レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした!完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました! (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです!18禁じゃないリクエストもお受けしております〜! (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか?いつも面白いです! (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noah | 作成日時:2021年10月25日 15時