ヒーローと甘々。その１０。【仮面ライダー】【スーパー戦隊】

✿お父さん。　ゼロワン【滅】 ページ21

✿Makua*ぼっち様リクエスト✿

ＮＯサイド

滅亡迅雷のアジトの中。

Aは、椅子に座って外を眺めている滅に声を掛ける。

『ねぇ滅』

滅「どうした？」

『１回だけで良いからさ、私のお父さんになってくれない？』

滅「は？」

『だって、滅って父親型ヒューマギアなんでしょ？』

滅「そうだが……」

『だから良いじゃん！！お願い！！』

Aは勢い良く手を合わせて滅に頼む。

一方の滅は渋い顔をしていると言うか、余り乗り気では無さそうだ。

『私お父さん居ないし！！お父さんが居る気分みたいなの、味わってみたいんだよね』

そう。

Aはシングルマザーの家庭である。

父親はAが生まれて直ぐ蒸発したらしい。

だから彼女は父親の事を全く知らないのだ。

勿論、滅はその事情を知っている。

それなのに何で直ぐ了承しないのか。

滅「残念ながらそれは無理だ」

滅は苦い顔で言う。

『何で？私の事情知ってるよね？』

滅「今更お前のお父さんになっても、どう接すれば良いか分からない」

滅は理由を告げ、冷たい視線を送る。

Aはポロポロと涙を溢して、部屋を出て行った。

滅は苦々しい思いで、立ち上がる。

Aを追い掛けようと思ったのだ。

案外Aは近くに居た。

泣いて顔を覆っている彼女の肩に手を載せる。

『滅……私の事、嫌いだからお父さんになれないんでしょ。さっきのがイイワケだって分かってる』

滅「違う。さっきのは確かにイイワケだったが、嫌いだからと言うのは違う」

『じゃあ何？』

滅は口をもごもごさせた。

滅「俺は恋愛的にお前が好きなんだ。だから、お父さんにはなれない。だが、恋人として、お前を守る事は出来る」

滅の真っ直ぐな言葉に、Aは目を見開き口をパクパクさせた。

『そっか。そうだったんだね。私も、滅の事が好きだよ』

Aは未だ涙で上擦った声のまま告げる。

『じゃあ、これから私を守ってね。でも、先に行っちゃったらそれはそれで許さないから』

滅「あぁ。お前の父親が出来なかった分、沢山愛してやる」

滅は優しくAに口付ける。

優しくて、温かいキス。

Aの涙もすっかり止まって、２人は歩き出した。

温もりに溢れた優しく逞しい手を、そっと繋いで。



リクエストありがとうございました✨

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