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『…うっわぁ…暗いですね…お決まりじゃないですか…』
「そりゃ誰も使わへんのに明かりつけとかんやろ。牢に捕らえとるやつの為にわざわざ明かりとか付けへんし」
『……いやまぁ、わかってましたし…?』
「それわかってなかった反応やん…」
それにしても、本当に真っ暗だ。
開けっ放しにした扉のおかげで少し見えるくらい。…明かり、どこにあるんだろう。
『ロボロさんなにか持ってません?マッチとかロウソクとかライターとか…。』
「残念ながら持ってへんねんな…。」
『…さっき殺した3人の中に誰か一人くらい持ってませんかね』
「あー…」
『私見てきますね!』
「おー、よろしくなぁ」
さっき殺した人の死体に近づき、服のポケットを漁ったりする。
…死んでからあまり時間が経っていないからか、微妙に温かくて嫌だ。
『…あ、この人タバコ持ってる…!!』
それならライターもあるはず…!
そう思い内ポケットに手を入れる。…あ、なにか硬いものが触れた。
それを取り出すと、ロケットだった。
それを興味本位で開いた。…正直、それを後悔した。
『……っ、ごめんなさい…』
妻と子供らしき2人と、この持ち主の人が写っている写真だったから。
この人はこの国に生まれて、この国の兵になっただけなんだ。
国王か誰かが命令して我々国に誰かを侵入させただけだし…。
やっぱり、あの時殺さずに気絶で済ませておけばよかった。
その人の手袋を外すと結婚指輪をはめていた。
『…ごめんなさい。もっと考えて行動すればよかった…』
いくら敵とはいえ、その人にもちゃんと家庭はあるんだ。
その人に死ぬ覚悟はあったとしても、多分家族は、その人が死んだ時のことを考えたくも無いはず。
残す側より、残される側の方が辛い…って、聞いたことがある気がする。
…そこまで考え、私は自分が今やるべきことを思い出した。
そうだ、感傷に浸っているほど私は暇じゃない。
ライターを探して手に入れ、ロボロさんの元に戻った。
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零音(プロフ) - ゆずゆさん» 泣いていただけたんですか…?!ありがとうございます…!! (2021年1月19日 23時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずゆ(プロフ) - 泣いちゃったじゃねぇですかぁ……面白いです。完結おめでとうございます (2021年1月19日 2時) (レス) id: 6e2976f246 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - ぺ助さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!どんどん妄想膨らませちゃって下さい…!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - まっくろさん» ありがとうございます!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - ぽむさん» 初めて…!?ありがとうございます!続きを検討しておきますね…!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
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