45.海祇の亡き声 ページ47
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「◾◾◾◾!!」
「なんで、そんな声で啼いてんのさ!」
ここは自分の結界内だ。
足場の不利は問題ない。
さらに虚空から自分の背丈ほどある大太刀を取り出す。
「本当は鬼切なんだけど、神様にも聞くのかな…。
たのむよー、大通連」
後輩に格好良い所を見せないといけないんだ。
綿津見が大きく跳ねた。
その巨大な体積で押し上げた波が、襲いかかってくるけれど剣一振りで真っ二つに切り裂く。
波しぶきを頬に浴びながら前を見据えるけれど、並を切った斬撃は綿津見にかすり傷一つ与えない。
「◾◾◾◾◾!!」
もう一度神が啼けば、今度は海面から海藻のツタが伸びて手足を拘束しようとした。
太刀裁きで切伏せて、その巨大な綿津見に向かって走る。
一気に加速して右ヒレあたりを切断しようとするけれど、切り込みを入れるだけで終わる。
「硬った。
ちょっと、大通連なら余裕でしょ。潮水浴びて拗ねてんの??」
とりあえずバックステップで下がって刀を振ってみるも反応はない。
水弾を避け弾きつつため息を吐いた。
「やっぱり思った通り強くはないね。
見た目がデカくて硬いだけの呪霊。あまり邪気はないし……、これはちょっと気がひけるなぁ」
「◼▪◾◾◾◾◾◾◼!!」
「だから、そんな声で啼かないでよ」
その心に直接響く声は好きじゃない。
当然呪霊だ。
届ける言葉は、負の感情……、哀しみや怒り。憐憫に満ちている。
やっぱり、哀れな生き物だ。
彼も貴方も。人に望まれて生まれてくるバケモノたち。
「 唯式 」
虚数の呪力を載せて放った斬撃は、山を思わせる巨大も一刀両断する。
さらに身を捻り、もう半分に。
「◼◼◼◼◼◼▪▪▪▪▪;」
断末魔と共に、海の神様はきえていった。
「ここ最近、
夜に密猟者が現れるようになったらしいよ。
地元住人は夜に漁なんか行かない。
当然危ないからね。
だから必然的に、あの呪いが沈めていた船は密猟者の船ってことになる」
「えっ、、、、それじゃぁ、あの綿津見は」
「呪いだよ。人の負の感情から生まれた呪い。
人にそう在れ化しとのぞまれ、生まれ落ちたバケモノ」
暗い海を眺める。
綺麗な海だった。
この海を守ってきたのは街の住人か、
それとも……
「やっぱ訂正します。
先輩って変わってますね」
「なにそれ。ディスってるのかなぁ」
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時