31.言葉だけじゃ足りない ページ33
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「悟。ありがと」
敢えてなにを、とかは口にはしなかった。
ただ、談話室のソファにすわってテレビを見る悟のふわふわの白髪をぽんぽんと撫でる。
悟は一度その空の目を瞬いて、そっぽを向いた。
「クッソ面倒臭かった。
休日に先輩にパシられるなんて最悪だったわ」
「うん。だからありがと」
天邪鬼。
硝子ちゃんの言葉を思い出した。
これが天邪鬼の反応なんだろうか。
悟の横に座って、テレビに向き合った。
画面に映るのは私が前、悟におすすめと言って貸した映画だ。
「この貸しは高いぞ」
不機嫌そうに口をへの字に曲げて、悟はそう言った。まぁ、休日を潰した貸しはでかい。
「いいよ。悟の言うことなんでも聞いてあげる」
「おまっ、、、、。仮にも呪術師がンなこと言うなよ!!!」
「ええぇ、」
ちょうどコーラを飲んでいた悟は少しむせてから、そう言った。
まぁ、言葉は縛りになるからあまりふさわしい言葉ではなかった気もするけれど。
そんなに慌てて怒るようなことだろうか。
「「なんでも」ってきいてヤラシイことを想像しちゃったんですよ、悟は」
「ばっか!!すぐる!!!」
いつのまにか談話室に入ってきていた傑の言葉に悟が思いっきりペットボトルのコーラを投げつけた。
ちらりと見えたが顔は真っ赤だ。
へー。ふーん。そーなんだ。
「因みに、前の実習でA先輩と悟が手合わせ稽古したとき、
先輩がスカートで十字固めしたときも、顔真っ赤でしたよ?」
スカートで十字固め?
確かにそんなことをした日もあったような。
……、あれ、そのとき私ストッキングかタイツ履いてただろうか。
いやいや、流石に生足で1十字固めは……。
やばい。あの時の私は必死すぎて記憶をなくしている。
「うーん。
思春期の男の子としては正常な反応なのかな??」
「うるせぇ!!だまれよ!!」
悟のどなる声をかき消すように、傑がゲラゲラと笑っている。
この年頃の男の子のジョークネタはどう扱っていいか分からないから、私はどうもできない。
しかし、隣でブチッとなにかが切れる音がして振り向くと悟がサングラスを外して座った目で傑を睨んでいた。
「え、っちょ。さとる、?!」
「なに?かまって欲しいなら後でな」
目も座ってる。
口調は平坦だ。荒が無い。
完全にキレている。
立ち上がるとするりと私の髪を撫でて、傑を引きずって外へ出てく。
次の日校内の一部が半壊していた。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時