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2.先輩と後輩 ページ4

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「アンタが霜宮A?」


「ん?」


階段を下っているところ、頭上から声をかけられた。
上を見ると一個上の階の階段に人影が見える。ここの生徒の制服はみんな黒くて黒い影しかわからないのだけど、そこに白が見えて首を傾げた。


「DVD元の場所に戻しといたから」


それだけ行って消えていった影に、ぽかんと固まった。

そのあと談話室にいくとテレビ横には元どおり消えたDVDの山ができていて、やっとさっきの人影が《五条悟》だと思い至ったんだ。


―――

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今年の一年生は曲者揃いだと2年生の担任の先生が嘆いていた。

そのおかげか、本来なら二年生に回るはずの学生用任務が一年生に流れているため外の任務が減っていた。

しかも一年生はそれを流れる様にこなしているらしい。


私も先輩として頑張んないとなぁ。と思ったのは記憶に新しいはずだった。


「……っ、」


口の端から漏れそうになる苦悶を必死に噛み砕いた。

歩くたびに体が揺れて砕けた腕の骨に振動が響く。簡易的に吊るしてあっても痛みは全て受け流せない。

打撲した足で、学校までの長い階段を登ることさえもキツかった。


気温が暑いのに加えて、さらに脂汗をかいたためもう服はびっしょりだ。
もはや暑いのか寒いのかも曖昧だ。


やっとのことで階段を上り切った時、道袖の木の影に人影が紛れていて、足を止める。



「A先輩おかえりなさい。任務大変だったみたいですね」


「あっ、傑くん!わざわざ迎えに?ありがと」


「先輩のところに報告とは違う呪霊が出たと聞いて」


「そーなんだよ。二級の軽い任務のはずが、まさか特級近くまで強いなんてさ。久々に焦ったよね。ま、でも勝ったよ。これでも一応一級呪術師だからね」


うまく、笑えているだろうか。
それだけが心配で、会話の内容なんて入ってこなくて、口が勝手に言葉を発していた。


「肩、かしましょうか?」


「あーー、やめてやめて。今絶対汗臭いから。医務室まで歩ける歩ける」



そしたらきっと消子ちゃんが治してくれるはずだ。


「そこまで言うのなら、引き下がりますが」


さすが紳士の傑くん。乙女心をわかっている。


「あ、そういえば悟がまた違うDVDが見たいっていってました。
先輩のチョイスが気に入ったみたいで、機会があれば貸してやってください」


「わかった。選んでおくよ」



悟、悟。誰だったっけなって思ったのは内緒だ。


傑くんに手を振って、普通に歩くよう勤めて、体を酷使した。

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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦   
作品ジャンル:アニメ
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時

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