13.きみがいうから ページ15
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邪魔になるからと髪を結い上げたけれど、そのせいで首元に風が入り落ち着かない。
様子見とばかりに正面から突っ込んできた五条くんの右ストレートを、ギリギリまで引き付けてから少ない力で優しくいなす。
長身の五条くんの懐に入って、しっかり地面を踏み倒し右手の掌底で鳩尾をえぐろうとする。
しかし、右手が加速し切る前にさらに体の距離を詰められしっかりとしたダメージとなることなく、五条くんの硬い腹筋に当たった。
そのまま左手で右腕を掴まれ、腕を引かれながら捻られる。
「……っ、」
争ったら肩関節が外れるっ。
片足で地面を蹴って飛び上がると、引かれ捻られる腕を利用して空中で身を捩り顔面に左回し蹴りを喰らわせる。
とっさに右手で庇われたが、庇った右手を両足で挟み、逆にこっちが肩関節を外そうとすると焦ったのか私の腕を掴んでいた手を離して、右肩を庇った。
手が自由になったので一旦距離をとって、
五条くんを睨み付ける。
すこし、強張った顔をした五条くんにニヤリと笑った。
どうせ、彼は私の相手なんて一瞬で終わると鷹を括っていたのだろう。
彼らに私の戦いを見せたことなんて一度もない。
舐めやがって。
腹を括った私は強いのだ。
「ほら、続きしよ。ギャフンって言わせてやる」
軽く煽ったつもりだが、ブチッと何かが切れる音がした。……気がした。
いつも悪い笑みを浮かべているのに、
笑っていない五条くんは、本当に怖かった。
―
――
――――
「硝子ちゃーーん。
痛いよー。
絶対五条くん手加減してなかった!!」
手合わせが終わって真っ先に硝子ちゃんに縋り付いた。
よしよしと頭を撫でてくれる硝子ちゃんが大好きだ。
ちなみに五条くんはまだ地面に転がっている。
最後に決めた関節技が効いているんだろう。
「A先輩、、、強かったんですね」
まるでありえないものを見るかの様な目を向ける傑くんに、ふいっと顔を背ける。
まさか、私が五条くんに勝つなんて思ってなかったんだろう。
正直ギリギリだったとはいえ、勝ちは勝ちだ。
「君たちは先輩を舐めすぎなんだよ。
私たちだって、それなりにこれまで何かを積み上げて生きてきたんだから」
でも正直、こんな勝負は二度とごめんだ。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時