☆22ページ☆ 外伝 誰ソ彼青年はかの人の… 後半【月に吠える編】 ページ25
「ウチの父さんって、結構ロマンチストだったから今思うと結構恥ずかしい事言ってたなぁって…だから俺も戦死しても魂は蝶になって、遠い故郷や愛する彼の人の元に帰れる。
柄でもないけど…結構信じてるんだ。」
「ッ！そんな…でも、嗚呼、そうか…」
「ん？アンタどうしたんだ？」
芥川は涙が溢れた。
何故って…スマトラの忘れな草は彼の作品に登場する話であり。
同時に僕の文学の才能を受け継いだと言われた"あの子"に語った話だったからだ。
「君…良かったら名前を…教えてもらっても…」
「嗚呼、そう言えば名乗り忘れていたな。
俺は芥川多加志。
父さんは大正を代表する文豪芥川龍之介だ。」
嗚呼、やっぱり君は僕の多加志なんだね。
あんなに小さかったのに….少し見ない間に立派に。
「君は…お父さんを恨んでるかい？」
「別に、父さんが死んだのは…追い込んだ親族のせいだ。
其れを言うなら俺もそうだけど…」
「ん、どうしてだい？」
「だって、俺が丈夫な身体で生まれてさえいれば、父さんが…高い医療費を払わずに済んだかも知れない。
其れを見て、金銭面で散々利用した叔母に父さんは…！」
多加志は自らの唇をキツく噛みしめた。
「だから、俺は父さん…芥川龍之介に感謝こそしても、恨んだりなんて絶対にしない。
俺は芥川龍之介の血を受け継いで、凄く幸せだ。」
「(ッ！多加志！)」
芥川は殆ど衝動的に息子を抱きしめた。
「ちょ、ちょっとアンタ一体どうし「ありがとう。」え？」
「多加志…僕達の所に生まれて来てくれて、ありがとう。」
芥川は成長した多加志に、心から感謝した。
「…アンタ…まさか…ッ！
なんだよ、勝手に現れて…勝手にアンタは。然も、よりにもよって…俺が死にそうな時に。」
「ごめんね、僕の蝶々。苦労をかけて…
でも、不謹慎と思われるかもだけど…僕は君に会えて凄く嬉しいんだ。」
「ッ、嗚呼、俺もだよ。
でも、やっぱり、俺も貴方の様に愛する人を置いて地獄に落ち様としている。
然も俺…もう直ぐ…なあ、最初で最後の俺の頼み…聞いて貰えるか？」
多加志の言葉に芥川は、切ない様な淋しい様な顔になるが…
「分かった、可愛い息子の頼みだ。
絶対に成し遂げるよ。」
「嗚呼、男同士の約束だ！」
「うん、任せて。」
其れと同時に、芥川の身体は透け始め。
「「じゃあ、グッド・バイ」」
その言葉と共に彼らの世界は消えた。
そして、数年後、芥川多加志は戦死し、遺体は見つからなかったそうだ。
だが、その魂はきっと愛する彼の人の元に帰って居るだろう。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←☆21ページ☆ 外伝 誰ソ彼青年はかの人の… 前半 【月に吠える編】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なのは(プロフ) - 更新楽しみです！ (2020年7月3日 3時) (
レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
空夜☆時音(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます！pixivとこの作品は重なる様に書いて居ますので好みによって違うかも知れません。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月25日 15時) (レス) id: b7a01024a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - pixivでも見てます！更新頑張ってください！（私も小説頑張ります） (2020年5月25日 14時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
夢 - がんばれがんばれ(語彙力) (2020年5月25日 10時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
べっこうあめ - 初コメ失礼します! めっちゃ面白いです！作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 8時) (レス) id: 036a34d0ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空夜☆時音 | 作成日時：2020年4月18日 3時
