星に願いを (ページ25)

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俺の奥さんページ25

〈ここを押すと前に進みます。曲がりたい時は…〉

ついにAが車椅子を使うと決めた。

確かにここ最近は、自分で起き上がることも辛そうで、俺の補助なしに歩くことも難しくなった。

それでも彼女は自分の足で少しでも長く歩きたいと、行けるところまで頑張ろうとしてきた。

｢宏光、私これがいいな～｣

『…ん？』

｢もう、ぼーっとしてたでしょ？笑すみません、この人すぐボケーッとするんです笑｣

なーんてことを店員さんにいいながら、彼女は今日も笑っている。

〈いい旦那さんじゃないですか～男前ですし笑〉

｢そ～なんですよ！笑自慢の夫です笑｣

『……///』

｢あ、照れてる笑｣

『じゃあ、買うのこれでおっけー？』

俺のことを茶化してくる彼女の言葉を遮るように聞いた。

帰ってからも彼女はルンルン気分で台所へ向かった。

車椅子に乗るようになっても動きやすいように、広いキッチンで良かった。

｢実はさ、旦那さんと一緒にご飯作るの憧れだったんだよね～♡｣

『え？そうだったの？早く言ってよ、笑』

｢まぁでもご飯作るのは奥さんの仕事だし笑｣

『今の時代そんなん関係ないよ』

するとしばらくして玉ねぎを切り始めた彼女が、皿を用意していた俺にポツリと聞いた。

｢ねぇ、私ちゃんといい奥さんになれてたかな…？｣

『どうしたんだよ急に』

｢普通さ、ご飯とか毎日こなすのが奥さんの仕事だよね、｣

玉ねぎを切る包丁の手が止まって、彼女の目は赤くなり始めていた。

『ほら、すぐ泣かない笑』

｢泣いてないもん今日は｣

『そう？』

｢たまねぎのせい｣

『あ、玉ねぎか、そっかそっか笑』

そうやって強がる彼女の顔はまだ不安そうで。

そんな彼女を覗き込んで俺は言った。

『ちゃんとやってるよ、なれてるよ俺の理想の奥さん』

『奥さんってのは、飯作って選択して掃除するから奥さんなんじゃなくて、旦那さんをいつも幸せにしてくれて癒してくれるから奥さんなんだって笑』

『俺、毎日Aに癒されてるし、Aを見るだけで愛しくて幸せで、あ～結婚して良かったな～って思ってる笑』

｢…ほんと？｣

『ほんと笑も～玉ねぎで泣くとか可愛いなぁ～』

Aの頭をガシガシして、俺は彼女に代わって玉ねぎを切り始める。

あれ、ヤバい。

｢ありがとう、みっくん…でさ、なんでそんなに顔赤いの？｣

『赤くねーし』

玉ねぎの発汗作用かな。

普段言わないこと一気に言ったから、俺の体は茹でダコのようだった。