絶対見つけ出すから ページ20
世の中はすっかり秋になった。
Aは前よりも更にやせ細って、ふらつくことが増えた。
だけど、それだけじゃなかった。
『A』
「ん〜?」
『今日俺早く帰ってくるからどっか美味しいもん食べに行こうぜ』
「いいね〜!私も夕方用事があって買い物行くけど、1回家に戻ってくるから、そしたら行こ!」
こんな約束をした日のことだった。
俺は仕事を終えて、家に戻った。
けれど部屋は真っ暗で、まだAは帰っていない。
買い物熱心なとこもあって、時刻はもうそろそろ18時。
それからテレビを見たりスマホをいじったりして19時。
おかしい、変だ。
何も連絡をよこさないし、なんだか心配になって俺は電話をかけようとした。
すると、
📞〜 【玉森裕太】
玉森からの着信だった。
『もしもし、』
〈あ、ミツ?あのさ、Aちゃんうちに来てるんだけど、、〉
『えっ?なんで急に…』
〈それがさ、ちょっと様子がおかしいっていうか、〉
『は?』
〈俺のこと何回も藤ヶ谷くんって言ってガヤと間違えてるみたいでさ〉
言ってる意味が分からなかった。
俺がタマの家に迎えに行くと、Aはハッと気づいたような表情で言葉を失っていた。
『どういうこと、?』
「ごめん、ごめん、私…っ、」
Aは荷物も持たずに走って外へ飛び出た。
『Aっ!タマ、ごめん、また後で電話する』
俺はそれだけ言うとAを追いかけた。
『Aっ!おいA!』
走って手首を掴むと、彼女はもう片方の手で顔を抑えて泣いていた。
『なぁ、どうしたんだよ』
「ごめん、分からなくなっちゃったの、っ」
『え?』
「最近ね、自分が思ってたことと違うことしてたり、ついさっきまで覚えてたことを忘れちゃったりして…」
せん妄、かもしれない。
前に主治医が言っていた。
薬や病気の進行の中で、一時的に注意力が無くなったり忘れたりするって。
それで、タマのことを藤ヶ谷って。
『怖かったよな、? でも、タマの家にいて良かった、』
「うん、ごめん、」
『ほら、飯いこっか笑』
それでも曇った顔の彼女の手をとって、俺は言った。
『Aが今日みたいに俺を見つけられなくても、俺が絶対見つけに行くから笑』
今度は小さく頷いた彼女の顔が少しだけ晴れた気がした。
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ももちん - 涙がとまりません (2021年1月3日 0時) (レス) id: bd2e175192 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» このレス欄でメンバーを言っていただければOKです! (2019年10月3日 15時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 返事遅くなりすみません!ボード大丈夫ですか? (2019年10月2日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» 大丈夫です! (2019年9月24日 1時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 病系でも大丈夫ですか? (2019年9月22日 15時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年9月13日 15時