玖 ページ9
「もう絶対に離さないから！」
「お願いだから抱きつかないで！私の胸の小ささがばれるでしょうが！」
ただ今何が起きているのかというと、私のお腹辺りにぎゅーぎゅー抱きついてくる加州を必死で痛くないように離そうとしていた。
「怒るところそこなんだ…。」
堀川から静かな突っ込みを貰う。
まあ、加州はそんなの気にしていないらしい。
「なんで置いていったの？
俺捨てられるの？
俺のこと愛してくれるって言ったよね？
だから俺の手、包帯巻いてくれたんでしょ？
そうなんだよね？」
「だ・れ・が・捨てるのよ！
貴方の言う愛でろの限度はわからないけど、私なりには頑張るとは言いましたがっ！？
とにかく、一旦離れて！」
「離したら俺を捨てるでしょ！？
俺を愛して？
それ以外何も要らないから、ね？」
「離しても捨てません！勝手な思い込みはやめましょうか、付喪神様！！」
「付喪神様って、…もう俺の名前、呼んでくれないの？
…そうだ。
気持ちよくなったら、俺の事もっと見てくれる？
主も気持ちよくしたら数日は可愛がってくれたし……。
俺と、シよ？」
「やめようかっ？！」
上目遣いで首を傾げるそして直に太ももをいやらしく触り始めたので無理矢理引き剥がした。
怪我人相手に無理をさせたくなかったのだが、致し方ない。
想像してみてほしい。
超絶可愛い系イケメンが、モブ女にしがみついる。
これは大層見るのも気持ち悪いよね？私も激しくそう思う。
「たのしそうだからぼくもまざっていいですかー？」
「ちょっとぉ！？」
抱きつく準備満タンの今剣を抑える。
「えー、ずるいですー。ぼくもあそびたいのにー。」
なんだか彼が加州のやろうとしたことに乱入したいって聞こえるが、ぶんぶん首を振って脳内から消した。
「…加州。」
「……何？」
「その…加州の言う通り私と加州は離れてる、それは事実よ。
でも加州が望む限り私は可愛がりたいし、それに、優しい貴方のこと好きよ？」
「じゃあ、なんで……！」
「今は私なりに頑張ってるんだけど…。なかなか上手くいかなくてこんな有様なの。
…その、ごめん。」
「ううん。」
加州のその嬉しそうな顔に、安堵しているととんでもないことを発言した。
「＿俺さ、待ってる！あんたが俺の"主"になるまで。」
「……え？」
今、とんでもない誤解がうまれたのがわかった。
慌てて誤解を解こうとすると同時に誰かが割り込んできた。
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
