ただの迷子に審神者は務まらない！【刀剣乱舞】 (ページ45)

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中～夢主ちゃん、海に行く～2 ページ45

改めて見ると彼はあのフードのかわりにフード付きの上着を羽織って、サーフパンツといった……まあ、やはりイケメンさんだ。

私はこんなイケメンと普通に会話していたのか…。ちょっと拍子抜けてしまう。

＿その彼の手にはやけに大きな鞄があり、何が入っているのか聞けば、"服やらの必需品"と普通に言われる。
…にしては細長い硬い物も入っているみたいだ。なんだろう？

「それでだ。…なんでまだ巫女服のままでいるのかな？お前は到着してからもうだいぶ経っているはずだろう…。」

「この広大で美しい海を見てたの！もう…何度見ても感動だわぁ…っ！

いぎででよがっだぁ…！」

「……。」

隣で憐れみにも似た目を向ける彼を差し置いて私は目の前の海に号泣している。

＿＿そもそも、何故こんなことになっているのかというと…だ。

事の発端はあの演練場で働く女子達の会話だ。

『ねぇねぇ、一緒に海へ行かない？』

(う、海だと…っ！)

その彼女が気軽にそんな恐ろしい発言をしたあまりに手に持っていた書類を落としてしまった。

『すみません。』

拾い上げながら首を振って仕事に集中した。

＿聞き間違いだ。海なんてとうの昔にないんだから。

海…それはかつて地球の7割をしめていたとされる神秘の水！！

どういう理屈なのか、その中には様々な生物が生息していたらしい。

なんとまあ、凄い水ではありませんかっ！！

『あ、あの…』

『はっ！……す、すみません。
ええと、ではこちらの方に審神者名での署名をお願いします。
ペンは…っ！？こ、ここちらをお使いください。』

海の素晴らしさを心の内で思っていれば、自然とガッツポーズに力が入りすぎていたのか審神者の目の前でペンを折っていたので…すぐさまに折れたてのペンを隠し、新たなペンを渡した。

耳をすませばまだ会話は続いていた。

『でも私達は一般人として行けないじゃん。』

『もう！政府が私たちの息抜きに貸し切ってくれるって言ってたでしょ？』

(か、かかかか貸し切り！？)

ビリッ、

そんな恐ろしい音が手元の方からした。

『えっ？』

『は、…あー！？
すみませんっ！すみません！ごめんなさい！』

せっかく書いてもらっていた紙を目の前で破ってしまった。

『すみません…もう一度記入をお願いします。』

『は、はい…』

っていうか、海って海なの！？なんか会話続いてるし！？

あ、でも仕事…でも聞きたいぃ！でも仕事がァ！
ああ、長年待望の海がぁぁあ！