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中〜夢主ちゃん、海に行く〜9 ページ7

『…血なまぐさい、か。確かにそうだな』

私と同じようにその言葉を受け取った彼が隣で……
その時の平気そうな振りをするくせに、とても傷ついていた彼の顔を否が応でも思い出した。

『なあ、***_』

そして_その後のことを思い出した私はぶるりと身をふるわす。


「あぁ…、えぇっと、あのね、そんなつもりじゃあ…」

黙りこんで私に近付くので余程怒っているのかと思い弁解を始めるが、今更なのかその歩みを彼は止めようとしない。

私のすぐ目の前でピタリと立ちどまる、彼はボソリと耳元で呟いた。

「少し…場所を変えよう」


彼はそんなことをしないと分かっているのにその言葉が妙に怖いと思ってしまった。







海岸の隅の方の人目につかない場所で彼はようやく立ちどまる。

「ワー、ウミガキレイダワー」

「…ぜんぜん気持ちが入ってないぞ」

「アハハ、サイコーダゼー」

「…人格を見失ってないかな」

仕方ないじゃん!!

……爆弾を投下してしまった後に、人目につかない場所に連れていかれこんなガランとした空気に耐えられるわけがない。


「うぅ…もう、一思いにやっちゃいなさい!」

何をしてくるのかが分からなくて、同時に少し怖くて目をぎゅっとつぶった。


「何か勘違いをしていないかな?……まあ、いい。
自分から目を瞑るのなら手間が省けたな。そのまま目を瞑れ」

私の肩をその両手でしっかりと掴んで今までにない緊迫した空気か流れた。

「は、はい!瞑ります」

余程痛いことをするのだろう、ぐっと歯を食いしばる。


_だが、痛いのがいつまで経ってもこないので、ある意味不安に似た怖さが胸から込み上げる。

「ちょ、ちょうぎ?」
目をつぶったまま目の前にいる彼を呼んだ。



「っ、…なに?」

私の左肩の手が離れたかと思うと、今度は私の頬に手を添えている。

「ん、そのまま力を抜け」

「へ?…あ、うん」


手つきがちょっと優しい。

怒ってないのかな?
不安だったが、頬を撫でられていると自然に力が抜けていった。

「…無防備すぎやしないかな?」


「無防備でも今なら長義が守ってくれるでしょ?」

「…」

「ははっ、守ってくれない感じか」


無反応なのでら冗談まじりにそう言うと、変な返答が聞こえた。

「いや守る」

「え、」

割れながら素っ頓狂な声が出た。

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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年11月25日 2時

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