弐拾参─大広間での会話─ ページ24
・
「さて、話を聞かせて貰おうか長谷部」
口を開く三日月宗近。
頷いたへし切長谷部は、これまでの出来事を事実のみ淡々と語る。
風呂場が使えるようになったこと。
これは審神者から伝達を仰せつかった内容ではないが、彼はそれを伝えたところで風呂に行くような命知らずがここにいないことは理解している。あくまで本丸の現状としての伝達だ。
そして先刻手渡された紙の内容。
餉の時は外出する、ということ、明日の掃除予定場所。
それと、彼女の人柄は恐らく2代目に近い、ということ。
これはあくまで彼の偏見にすぎないが、誰よりも審神者の近くにいた時間は長いであろう彼の見解を現状疑える者もまた、いなかった。
彼が報告する間、誰1人として口を開かない。そしてそれを終えた途端、重苦しい空気と殺気に包まれる。
「ところで今宵の伽は誰が行くのです？」
そんな中口を開いたのは一期一振。
彼だけではない、刀剣男士達は長年の経験と共に理解していた。審神者の機嫌を取る1番の有効手段は『これ』であると。
へし切長谷部に、視線が集まる。
「お前が行け」と、そういう目だ。
思わず俯くへし切長谷部。
その様子をみた一期一振がすい、と挙手し口を開く。
「もし、決まっていないようなら…………私が行ってもよろしいでしょうか」
「おい、何言ってんだよいち兄！」
悲痛な叫びをあげるのは、数少なくなってしまった粟田口が1人。彼の弟刀に位置する薬研藤四郎だった。
「そうですぞ、もうこれ以上はおやめください！」
そして鳴狐、のお供の狐。
その声を聞き、悲しそうに、しかし嬉しそうに微笑む一期一振。彼にとって文字通り弟は、兄弟刀は、命に等しい存在だから。
「大丈夫です、私は。構いませんよね？」
口を挟む者はいない、決定だ。
「では、解散としようか。
……ああ長谷部、勿論お前も行くんだぞ？お前は常に審神者と、主と共にある存在だ、そうだろう？」
にっこりと笑って立ち上がる三日月宗近は最後にしっかりと釘を刺し、素知らぬ顔でしずしずと去っていった。
それはもう話すことはなくなったという合図。ならば話すことはないと、各々がそれを皮切りに立ち上がる。
それはすなわち夕餉の終了を意味する。
それが丁度、Aが自室に戻った頃だった。
────────────────────
55,000hit over Thank You!!
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1054人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朔夜(プロフ) - あみあみさん» 今週もコメントありがとうごさいます！来週テストですか・・・頑張って下さい！私もそろそろ学校が始まるので更新ペースが・・・頑張りますね・・・これからもよろしくお願いします！ (2017年9月16日 13時) (
レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
あみあみ(プロフ) - ついに続編かーーー 来週楽しみダーーー あっ、来週私学校のテストダ・・・ よし、この小説を読むためにテストがんばりまーーーーす (2017年9月16日 12時) (レス) id: 3f689df719 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - あみあみさん» コメントありがとうございます！どうも今回、更新日時表示が途中までオフだったみたいで・・・私自身「何故！？」と思いながら何度も更新したので見にくかったと思います・・・すみません！ (2017年9月10日 9時) (レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
あみあみ(プロフ) - 更新されてからすぐに読みました 朔夜さんサイコーーーーーーー (2017年9月10日 2時) (レス) id: 3f689df719 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - ゆらさん» わざわざコメントありがとうございます！主人公は私も「こんな友達ほしいなぁ」と思いながら作ってるのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！これからは忙しくなるので更新ペースは落ちそうですがどうかよろしくお願いします。 (2017年9月2日 23時) (レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
