【コナン】22. 寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】

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「顔を上げてください、工藤新一君」

「なっ、」

「俺は構いませんよ、君が来ても。だけど、今回最優先されるべきは俺の意見じゃない」


言ってから、そっと視線をずらして正面に座る少女の表情を覗き込む。そんな俺を見てすぐにハッとした様な表情を浮かべたコナン君は、すぐに身体の向きを変えると、伺いを立てるようにおずおずと彼女に話しかけた。


「灰原。その、盗聴して勝手に後を付けてきたことは、悪かった。オメーが信じるって言ってるこいつら…この人たちのことも、疑って悪い、とは思ってる。けど、やっぱり心配だし、もう灰原が嫌がるようなやり方はしない…ようにするから、俺も一緒に行かせてくれねーか」

「いいわよ、着いてきてちょうだい。Aとの大切な時間を邪魔されたことについては怒ってないわけじゃないけど、あなたが私を心配してくれてるのはわかってたもの」

「っ、じゃあ…」

「ただし、一緒に来るなら、たとえまだ疑っているんだとしてもAの指示にはちゃんと従ってちょうだい。組織を裏切った彼が、私に会うためにどれ程の危険に身を置いているか想像できないわけじゃないでしょう？」

「ああ、わかってる。俺や灰原に命の危険が無い限りは、ちゃんと」


力強く頷いた彼の言葉を遮って、哀ちゃんがゆっくりと首を横に振る。


「ダメよ。危険がある時こそ、彼らの言うことを聞くと約束して。その覚悟がないなら、嫌」

「もしオメーが手を出されても、黙って見てろって言うのか！罠かもしれないんだぞ！」

「Aやジンがそんなことをするなら、それは例えば、彼らがすぐ近くに組織の気配を感じた時だわ。守るために敢えて敵として振る舞うことが必要になるかもしれないの」


声を低くして喋る彼女の脳裏にはきっと、かつて俺が教えた明美さんの偽りの最期のことが過ぎっているのだろう。

確かに、今後同じような状況が生じないとは言いきれない以上、哀ちゃんの話す通り、どんな場面でも俺たちに手を出さないとコナン君が誓ってくれることには大きな意義がある。
無論、彼がその約束をどこまで守ってくれるかは分からないし、仮に破られてコナン君が敵に回ったとしても俺は哀ちゃんを守ることの方を優先するけれど。

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