【コナン】22. 寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】

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言っておいてから、少々分かりにくい表現だったかとAの反応を伺ってみたが、目を見開いて驚いていたかと思えば直後には深々と頭を下げて謝意を示してくれたあたり、きっと私の想いは正しく伝わったのだろう。


「…っ、ありがとうございます。ジンにも必ず、ご好意を伝えておきます」

「構わないよ。寧ろ、そのくらいしか助けになってやれることがなくてすまないな」

「いえ、これ以上ない御心を頂戴しました。本当に、ありがとうございます」


生来の日本人としての気質によるものか、下げた頭が中々上がらないAに向かって再度、気にするなと声をかけてやりながら横目にちらりと時計を確認する。

定刻通りならば間もなく、看護師が薬の処方のためにこの部屋へと訪れるはずだ。一般人に顔を見られたから何ということも無いとは思うが、我々が共にいる時間は、極力短くしておくべきだろう。


「さて。では今日のところは、この辺りで良かったかな」

「ええ、私からは何もないわ。お見舞いのお菓子、あとで有難くいただくわね、A」

「ありふれたもので恐縮ですが…それでは、どうかご自愛なさってください。ご療養中、長々と失礼いたしました」


ぺこりと頭を下げて退出しようとするAの姿に、うっかり芽生えた親心のようなものを押し殺しつつ、その背に向かって最後の声をかける。


「君も、身体には気をつけたまえ。彼にも、よろしく伝えてくれ」


既に半分以上扉の外に足を踏み出していたためか、私の言葉にAが返事をすることは無かった。

だが、閉める直前、最後に再び深く一礼したその姿に彼の気持ちの全てが込められているような気がして、私は思わず温かな息を吐かずにはいられなかった。

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