検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:14,053 hit

1011. ページ12

軽い現実逃避をしている間にも音声の再生は続く。気づけば声は再び、妹から母へと戻されていた。


『───私たちが受けた恩を、お前が代わりに返すべきだとは思っていない。ただ、願わくば我が友人と一度冷静に話し合う機会だけでも持ってほしい。以上だ』


その言葉を最後に、音声はプツリと切れて終了した。Aも俺もすぐには口を開かず、しばらくの間、生ぬるい沈黙が車内を満たす。

結局、先に言葉を切り出したのはAの方だった。


「良い友人、だろ?」


羨ましいだろうと言わんばかりの言い草に、つい反射で言い返す。


「俺の家族だ」

「ん、ふふ。そうだな、赤井の家族だ」


思わずと言った様子で笑みを零したAが、幼子でもあやすような柔らかい口調で、俺の言葉を肯定する。嬉しそうにすら感じられるその様子に、少しばかりバツが悪くなって窓の外に目をやった。


「…仮にカルバドスの身柄を手に入れたとして、組織にも返さずどうやって面倒を見るつもりだ」

「協力者にできないか、交渉してみるつもりだ。無理なら、申し訳ないけど閉じ込めさせてもらう」

「逃げ出したらどうする。協力者になった振りをして、裏切られる可能性もあるだろう」

「以前、ベルモットからちょっとした話を聞いたことがあって。確証は無いけど、俺の解釈が間違っていなければ、カルバドスはきっと協力者になってくれると思う」


その話とやらの内容について、詳細を話すつもりがないことはAの表情からしても明らかだ。

1012.→←1010. 銀の弾丸。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
設定タグ:コナン夢 , 黒の組織 , 腐向け   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:櫂渦【とーか】 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/28997649  
作成日時:2023年5月28日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。