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理解できない思考だとは感じつつも、言わんとすることはわかっていた。潜入捜査官である本堂が死んだ状態でキールが組織から逃げれば、CIAに情報を運べる人物がいなくなる状況だったのだろう。
キールが残って地位を築いておけば、いずれまたCIAからの捜査官や中継役が寄越されたときに、協力者的立ち位置で支援することもできる。
残念ながら、今日までそんな機会は訪れていないようだが。
「帰り道を無くしても正義にしがみついた結果、帰る場所まで無くしたか。哀れなネズミの末路だな」
「いずれ、他の組織が接触して彼女の帰る場所を保証するはずだ。だけどそれまでは、頼れる味方が誰もいない状況に身を置き続けることを余儀なくされる。…秘密を共有する俺の存在が、せめてもの救いになればいい」
「そうか」
独りぼっちは、苦しいから。そう呟いたAの頭を、髪を梳くようにして撫でる。知ったようなその口振りは、本当に知っているからこそなのだろう。
「そういえば。キールの行動について、潔白だったってさっき言ってたけど、その割にはジンってキールのこと疑ってたし、実際に色々と行動も調べさせてたよな。何で怪しいと思ったんだ？」
「潔白過ぎたからな。
昼夜任務に明け暮れながら、アナウンサーとしての仕事も真面目にこなして、世間からもそれなりの評価を得てやがった。
その癖、クスリにも賭博にも男にも溺れた様子は無いから、金が必要で身を堕としたとは思えない。加えて、特に殺しや拷問好きでもトリガーハッピーでもないときた。組織に入るメリットが無さすぎる。調べれば調べるほど、入った動機が見えなくなった」
「なるほどなぁ、言われてみれば確かにそうだ。潔白すぎて怪しいなんて、皮肉だけど」
「フン、その点ではてめぇも似たようなものだったぜ。気づかなかっただろうが、ラムやベルモットにそれとなく探られてた時期がある」
「えっ、そうなのか」
社会で生活していくには十分な能力と知識を持ち、一流の大学の卒業を間近に控えていながら、俺の犬となって不自由なこの世界に飛び込んできた変わり者。
疑い深い奴らが怪しむのには十分な経歴が、Aの背景にも存在していた。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
