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『───でもね、ジン以上に私が許せないのは、私自身よ。自分で自分の始末が付けられずに、父に守られることしかできなかった。守るために、こちら側に来たはずなのに』
『あなたは、十分にその役目を果たしていると思います。残念ながら手放しに俺がそれを応援することはできませんが、隠れている俺の弟や、組織に追われている赤井秀一も、きっとあなたと同じものを目指している。…あまり、独りであることに囚われすぎない方がいい』
『そうね、同胞は多いと信じてるわ。もしかしたら、あなたは私の知らない他の誰かのことも知っているのかもしれないけれど…きっと、教えてはくれないのでしょう？』
『ええ、まだ今は。ですが、いつかはお引き合わせしたいと思っています』
『楽しみにしてるわ』
盗聴器の向こうでは未だ二人の会話が続いていたが、どうやらそれも終わりが見えてきた。間もなく任務も始まるだろうから、これ以上は俺がリアルタイムで聞いている必要も無いだろう。
本来は任務の方を聞き守ってやるつもりで首輪をAの荷物の中に忍ばせたが、思わぬ話を聞いてしまったためか、殊のほか疲れた。
それに、組織の医者が押し付けるようにして渡してきた薬がようやく効いてきたのか、痛みも随分と鈍くなってきたように感じる。
そうなると、俄然存在感を増し始めるのが、不健康な生活と慢性的な睡眠不足を原因とする、睡魔。
イヤホンを外しておざなりにテーブルへと放り出し、襲い来る睡魔に身を任せてしまった俺は、その後未来を予言するように告げられたAの言葉を、聞きそびれていた。
『────あぁ、最後にひとつだけ。もし覚えていたらで構わないのですが、無事に赤井秀一が殺された暁には、あなたから是非伝えて頂きたい言葉があります。“燃やされて困るものはアパートに置くな” と。伝えていただけますか』
『全くもって意味はわかっていないのだけれど……いいわ、任せて。理由は聞かないでおいてあげる』
『ありがとうございます』
そんな会話がなされていたとは露知らず、目を覚ます頃にはAから任務無事完遂の連絡が届いていることを思って、俺は深い眠りへと落ちていった。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
