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[-ジン’s side-]
キールが、NOC。
しかも、あの本堂の娘だったとは。
言い当てられたキールも驚いただろうが、盗聴器越しに聞かされた俺もまた、Aの口にする情報には驚かされるばかりだった。
スコッチ、ライ、バーボン、本堂、そしてキール。もしかしたら、それ以外にも。数多潜り込んでいたらしいNOCたちの秘密を握りながら、それを誰にも知らせず独りで抱え続けることが、長く一般人として生きてきたAにとってはどれほどの艱苦か。
最初から歯車の狂った人生を辿ってきた俺にAの葛藤や苦しみが分かってやれるとは欠片も思わないが、秘密を知った俺の存在は今後のAにとって少なからず支えになり得るだろう。
そこまで考えて煙草を口に咥えた俺は、マッチの火をその先へと近づけながら、揺れる炎を相手にふと考えを改めた。
支えになるだろう、という程度では駄目だ、何が何でも支えてやらねばならぬ。
何せ、これまで基本的に必要に迫られるまで俺にすら秘密を共有しなかったAが、今回ばかりは必然に背を押されるまでもなく、自らの意思で選んで首輪をつけ、俺に情報を聞かせているのだ。
Aの中でどんな葛藤や変化があったのかは知らないが、根本的な部分が揺れ動こうとしているのは間違いない。
期待されているというのとは、少し違うのだと思う。信頼などという軽いものでもない。もっと重くてドロリとした、執着とか依存とか、それに近い何か。
ようやく、俺を堕とす覚悟が決まったのかもしれない。純な漆黒の中で生きてきた俺を、薄汚れた白に向かって突き堕とす覚悟が。
落ちた先が救いのない底なし沼だと分かっていても、Aと共に呑まれるならば悪くは無い。
そんなことを思いながら、俺は再度目を閉じ、聞こえてくる声に耳を傾けた。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
