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その数時間後。

ヨコハマ某所の茶屋にて、敦は茶漬けを食べていた。

その器の数はすでに二十を越しているが、敦の食べる勢いが衰える気配はない。

それを隣でアイスクリームがたくさんのったパフェを食べる天使が不思議そうな目で見つめている。

「おい太宰、早く仕事に戻るぞ」

天使の向かいに座る国木田が棘のある声で言う。

「仕事中に突然良い川だねとか言いながら川に飛び込む奴がいるか。おかげで見ろ、

予定が大幅に遅れてしまった」

「国木田くんは予定表が好きだねぇ」

「これは予定表ではない!!理想だ!!我が人生の道標だ」

『それを予定表っていうんじゃない?』

「うるさい!この手帳には相方が自'殺嗜癖とも、浮浪児が俺の金でしこたま食うとも
書いていない!」

そう一息で怒鳴ったあと、国木田はさらに天使を睨んだ。

「それに⋯⋯この小僧はともかく、このコスプレ男は何なのだ!」

『それって僕のこと?』

確かに、天使の格好はその名の通り天使のようだ。

ここに来る途中、町中では頭上の輪や羽は大層目立つため、色々な人に見られていた。

だが、それを天使は不思議に思っている点もある。

───前はこういうの変じゃなかったはずだけどな。

───僕以外にも変な人いっぱいいた気がするし。

───頭にツノ生えてる人とか⋯⋯。

『これコスプレじゃないはずなんだけどな。取れないし』

「⋯⋯天使くんさ」

太宰が先程までとは違う真面目な声を出す。

天使や敦はそれだけで辺りが静まり返るような感覚なった。

「ちょっと私の手握ってみてくれない?」

『え、何で?』

「いいから」

そう言われ天使は嫌そうな顔をしたが、太宰に「お願い」と言われたため、その場にあったナプキンを手にかけた。

「なんでナプキンかけたの?」

『なんでって、まぁなんとなく。だめだった?』

「いや全然」

そう言われ天使は太宰の手を握った。

何も起こらない。

『ねぇ、これなんの意味があるの?』

「⋯⋯なんでもない。ごめんね」

そう言う太宰の顔は晴れがましいものではなかった。

国木田も黙っている。

ただその場で敦だけが何も気にせず茶漬けを食べていた。




太宰の手を握っても何も起こらない。

それが意味することを天使が知るのはまだ少し後のことである。

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暁月臨(プロフ) - 凄く面白いです!更新待ってます!! (6月24日 16時) (レス) @page16 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
雪ん子(プロフ) - 凄い好きです❗️続き待ってます! (2023年4月26日 17時) (レス) @page16 id: fa924563b5 (このIDを非表示/違反報告)
クラスペディア(プロフ) - 面白かったです!更新待ってます✧*。 (2022年12月22日 13時) (レス) id: d83e92e5af (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです✨ (2022年12月20日 5時) (レス) @page14 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
響輝@お気に入り400人突破ベリサンキュ(プロフ) - 面白かったです。続き楽しみにしてます (2022年11月24日 0時) (レス) id: d6b5ec7764 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:棘屋 | 作成日時:2022年11月21日 7時

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