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「今なんか、先生ちょっとだけ職員室戻るってよ」
「そうなんだ」
「ここ座って、指出して」


 寝てたんじゃないのか、と訊ねる事も出来ないぐらい何故か緊張していた私は、言われるがままベッドの端に座る宇髄くんと向き合うように椅子に腰掛けた。


「女の子なんだからちゃんとしておかねェと駄目だぞ。俺、突き指のプロだから任せておけって」
「……ありがとう」


 さすがはバスケ部を纏め上げる部長かつエース。この手の怪我の処置など朝飯前かのように、慣れた手付きで処置をしてくれている。
 温かくて、割れ物を扱うみたいにどこまでも優しい彼の手。杏以外にこんなに優しく手を取ってくれたことは今までの人生で一度もなかった。
 「どういたしまして」と小さく笑う宇髄くんの横顔はおもいやりに溢れていて、けれどその時、友達が以前言っていた彼のある噂────女遊びが激しい、ということを思い出してしまった。
 顔が良くて、その癖この優しさ、扱い方、全てが揃っている彼ならば女の子たちなんてわんさか寄ってきて、取っ替え引っ替え出来てしまうんだろうな、とも思ってしまった。

 ──── ああいうのは見てるのが一番。

 友達のあの言葉に納得してしまった自分。そして今後一切、関わることはないんだろうな、と少しだけ何故か寂しく感じている自分。自分でもよくわからない自分に戸惑ってしまった。


「これでよし」
「本当にありがとう」
「いいっていいって。気をつけてな」


 そう、私の頭に大きな手を乗せてくれた彼に、もう一度お礼を言って体育館に戻った。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 宇髄天元 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年4月24日 14時

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