【ヒロアカ】今日もトガちゃんと【トガヒミコ】

ベタベタできない　２日目 ページ7

荼毘さんの言葉に元気をもらった次の日。


今日は死柄木さんと『スピード』をして遊んでいた。


死柄木さんは五本指で触れてしまわないように気を付けているのに速い。


私は２勝５敗で負け越している。


ちなみにトガちゃんとやったときは、３勝１敗だった。


ゲーム数が違うからなんとも言えないけれど、死柄木さんは上手いと思う。


トランプの扱いが上手そうなミスターならもっと速いかもしれない。


「死柄木さん、速くないですか」


私が３敗目くらいの時にそう聞いてみたのだけれど、


死柄木さんはその質問に対して死柄木さんはお前が下手なだけ、と笑いもせずに言った。


即答、と言っても過言ではない速さでの回答だったのが印象的だ。


今日は一日中死柄木さんがいてくれるから、寂しくない。


なんて事はないのだけれど、一人でいるよりはましだ。


それに、手をつけていない死柄木さんは表情がわかるから話していて楽しい。


「トガちゃんにこの前似顔絵を描いてもらったんですけれど、すごいんですよ」


トランプで遊び終わった時に私はそう切り出してみた。


私はトガちゃんを話に出して、寂しさをまぎらわせようとしているのだろう。


そんなことを頭の片隅で思いながら、私はこの前トガちゃんにもらい、


ずっと持ち歩いている紙を取り出した。


そこには、血にまみれる私の姿が描かれている。


「...なんだこれは」


死柄木さんのもともと低い声が、少しだけ低くなった。


理解不能、という顔をしている死柄木さん。


私はそんな彼にこの絵の素晴らしさを説明することにした。


「まず、これを描いたのはトガちゃんです

　その事実だけで嬉しくなりますよね そして、この顔です。美しいですよね？

　あ、私じゃなくて血ですから バックを黒にすることで、血の色を際立たせているのもいいです」


永遠に語り続けるような勢いで話し出すと、死柄木さんに止められた。


「お前がトガのことを話し出すと、二時間はかかるから止めろ」


そういうことらしい。


トガちゃんの話ならずっと聞いていられるくらい好きなのに...


口には出さなかったけれど、ひそかにそんなことを思っていた。

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